白鵬が北の湖抜き横綱歴代単独1位の671勝

琴勇輝にかちあげを見舞う白鵬(撮影・岡本肇)

<大相撲春場所>◇2日目◇14日◇エディオンアリーナ大阪

 白鵬(31=宮城野)が因縁の若手を圧倒し、横綱歴代単独1位の671勝目を挙げた。初対戦だった東前頭筆頭の琴勇輝(24)を一方的に押し出した。最後の仕切り前に「ホウッ」と叫ぶ琴勇輝に対し、昨年春場所前に「ほえるな」と忠告。それでも、ほえ続ける相手に第一人者の力を見せた。苦杯をなめた初日から一転、会心の勝利で初顔相手の連勝も歴代3位に並ぶ「26」に伸ばした。

 横綱の中の横綱へ、白鵬がようやく抜け出した。風呂上がりの支度部屋。左手人さし指を立てて、ニヤリとした。先場所14日目から3連敗と足踏みしていたが、ついに横綱通算勝利数で歴代単独1位に立った。昨年11月に急逝した北の湖前理事長を抜く671勝目。喜びをかみしめるように、にこやかに口を開いた。

 「長かったような、早かったような。場所前から達成したいと思っていた記録の1つだったしね。まあ、あらためて相撲ファンのみなさんも、1勝の重さが分かったんじゃないかな」

 因縁の相手だった。琴勇輝とはこの日が初顔だったが、昨年春場所前に“場外バトル”があった。最後の仕切り前に「ホウッ」と叫ぶことに、力士会で「犬じゃないんだから、ほえるな」と忠告。過去に高見盛が体をたたいて気合を入れてはいたが、それは土俵外。軍配が返ってから土俵内でほえる行動に、同会長でもある白鵬は異議を唱えた。

 それでも、ほえ続けて幕内上位まで出世してきた琴勇輝には「何回も言う必要はない。本人には合っているんでしょう」と一定の理解も示す。だが「土俵の中は神聖なもの。相手に敬意を払うのが大事」という第一人者としての思いは不変だ。そんな横綱の意地を、初対戦の土俵上で見せつけた。立ち合いで左から張り手、右からもかちあげ気味に腕を使って突き上げると、一気に押し出した。

 力の違いを示す完勝で初顔の連勝も26に伸ばし、気分も最高潮だった。「これが結びだと(琴勇輝)本人もいい思い出になるでしょ。手も足も出なかった、とね。出直してこい! って」。苦杯をなめた初日のうっぷんを晴らすには余りある白星で、白鵬が息を吹き返した。【木村有三】

 ◆昨年2月24日の春場所前力士会VTR 最後の仕切り前で「ホッ」と叫んでせき払いする千代鳳と、「ホウッ」と気合を入れる琴勇輝に対し、関取以上が出席する力士会会長の白鵬は「せき払い、やめろ。犬じゃないんだから、ほえるな」と厳命。千代鳳は同場所から自粛も、琴勇輝は続けていた。