元旭天鵬の大島親方、名門友綱の師匠に「やりがい」

15年11月、宮城野部屋での稽古で白鵬(左)と談笑する大島親方(元旭天鵬)

 元関脇旭天鵬の大島親方(42)が5月の夏場所後に友綱部屋を継承することが3日、分かった。現在は友綱部屋の部屋付きだが、友綱親方(元関脇魁輝)の65歳の定年(6月12日)に伴い名跡を交換して、江戸時代から続く年寄「友綱」を継承する。初のモンゴル出身力士として92年春場所で初土俵を踏み、40歳まで関取を続けたレジェンドが、モンゴル出身力士で初の師匠(部屋持ち親方)になる。

 江戸時代に始まった名門部屋の後継者が元関脇旭天鵬の大島親方に決まった。友綱親方が6月12日に定年を迎えることから、大島親方が夏場所後に年寄「大島」から「友綱」に変更し、友綱部屋を継承することになった。外国出身力士では、今月中に承認される予定の元大関琴欧洲の鳴戸親方に次いで4人目、モンゴル出身力士では初めての師匠になる。

 大島親方は「部屋を持つという夢があった。『友綱』は名門で名のある部屋。責任感があるが、やりがいの方が大きい。若貴時代のように、稽古場に人がいっぱい見に来てくれるような部屋にしたい。そして本場所でも応援してもらえる力士を育てたい」と話した。

 友綱部屋の歴史をひもとけば、江戸時代の1781年(天明元)に名関脇と呼ばれた初代が興した名門。明治から大正にかけては第22代横綱太刀山を擁し、魁皇ら3大関も輩出した。現親方が11代目にあたる。

 その歴史を、40歳まで関取を続け、史上1位の幕内出場1470回を誇る大島親方が受け継ぐ。92年春場所で元小結旭鷲山らとともにモンゴル出身初の力士として初土俵を踏んでから25年。05年6月に日本国籍を取得してから12年。「日本に25年もいて、気持ちも体も日本人。自分は日本人だと思っている。モンゴルから最初の力士になり、親方になったのも最初。これからの人たちに道をつくれるように頑張りたい」。

 角界に「初づくし」の歴史を築いてきたレジェンドが、新たな歴史をつくる。

 ◆大島勝(おおしま・まさる)本名・太田勝(旧名=ニャムジャブ・ツェベクニャム)。1974年9月13日、モンゴル・ナライハ市生まれ。92年春場所で大島部屋で初土俵。96年春に新十両、98年初に新入幕。05年6月に日本国籍取得。12年4月に大島親方の定年で友綱部屋に転属。直後の12年夏に昭和以降最年長の37歳8カ月で優勝。最高位は関脇(3場所)。15年名古屋限りで引退し年寄「大島」襲名。通算927勝944敗22休。家族は夫人と1男2女。