大入り千秋楽、来場した相撲ファンから厳しい声も

優勝インタビュー後、観客に呼び掛け万歳三唱をする横綱白鵬関(共同)

 福岡市の福岡国際センターで行われた大相撲九州場所千秋楽は26日、異例の光景が広がった。横綱日馬富士関の暴行問題を受け、横綱白鵬関と日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)がそろって謝罪。館内は大入りとなったものの、問題の影響の大きさが影を落とし、来場した相撲ファンから厳しい声も上がった。

 40度目の制覇を遂げた白鵬関は優勝インタビューで「場所中に水を差すようなことになってしまったこと、全国の相撲ファンに力士代表としておわびしたい」と述べ、頭を下げた。その上で「来年も大相撲をよろしくお願いします」と声を張り上げ、館内に万歳三唱を促した。

 ただ、第一人者の行動に、館内を警備している若手親方たちは険しい表情。「この問題ではみんなが苦しんでいる。それなのに(暴行現場の酒席に)同席した人間が万歳三唱を促すなんて信じられない」との指摘もあった。

 八角理事長は協会あいさつでおわびした。会場に詰め掛けたファンから「大丈夫」「理事長、頑張れ」などと励ましの言葉が飛び、ところどころで声を詰まらせる場面も。「ぐっときた。本当に頑張らなければいけない」と、問題の解決に決意を新たにした。

 逆風が吹いた中でも、21年ぶりに年90日間全てで満員御礼。しかし、人気の継続を危ぶむ見方は協会内にもある。来場した熊本県玉名市の農業堀江清司さん(69)は「せっかく人気が上がってきたところ。国技として暴力を許すことはできない。協会がどういう判断をするかだ」と語気を強めた。