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第8回イングランド大会

大会4カ月前にジュール・リメ杯盗難

 1966年の第8回大会は、63年にイングランドサッカー協会(FA)が創立100周年を迎えたことを記念して「サッカーの母国」で開催された。23年に建設され、神様ペレが「フットボールの聖地」と呼んだウェンブレースタジアムにも屋根がつけられるなど、本番に向けて着々と準備が進んでいた。

 そんな中、開幕4カ月前の3月25日に事件が発生した。ロンドン市内ウェストミンスターのセントラルホールで展示されていたW杯優勝トロフィー「ジュール・リメ杯」が盗まれたのである。チェルシーの創始者G・ミアーズ氏の孫で、大会組織委員会会長も兼任したJ・H・W・ミアーズFA会長のもとには「身代金」を要求する電話がかかってきた。

 高額の懸賞金が懸けられ、ロンドン市警が懸命の捜索を続けたものの、いっこうに見つからない。さらに開幕10日前の7月1日にはミアーズFA会長が亡くなり、大会期間中にFA会長職が空席になるという事態にも陥った。

 しかしそれから3日後、思いもよらぬ結末を迎えた。ロンドン南部ノーウッド郊外のある家の庭先で、新聞紙にくるまれたジュール・リメ杯が発見されたのだ。見つけたのは1匹の小さな白と黒のモーグル犬だった。「ピクルス」という名のその犬は、大会の救世主として一躍有名になった。贈られた多額の懸賞金で、大好物の骨を山ほど買ってもらったという。

 思わぬ怪事件に、開幕前から揺れたイングランド大会。実は予選エントリーの段階から、予兆はあった。それがアジア代表の躍進につながるとは、誰も想像しなかっただろう。

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本田圭佑

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