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第14回イタリア大会

快進撃がファンを変えた?

 トリノは、ゴーストタウンだった。90年イタリア大会準決勝の西ドイツ-イングランド戦を控え、町は厳戒ムードに包まれていた。

 多くの商店が臨時休業する目抜き通りをイングランドサポーターたちが歌いながら歩く。「危ない」。今考えると笑えるが、当時はイングランドのサポーター全員がフーリガンに見えた。

 「ヘーゼルを忘れるな」「次の標的はイングランド人だ」。物騒な張り紙があった。ヘーゼル競技場で行われた85年欧州チャンピオンズ杯決勝、トリノをホームとするユベントスのサポーターがリバプールサポーターに襲われて39人が死亡した。「ヘーゼルの悲劇」の敵討ちに燃えるトリノ市民と、イングランドサポーターの衝突が恐れられた。

 この大会、フーリガン対策は大問題だった。1次リーグのイングランドはF組だった。サルデーニャ島なら警備しやすいからだと言われた。しかし、大会側の期待? に反してチームは快進撃。大勢のサポーターを引き連れてボローニャ、ナポリと勝ち進み、500人の逮捕者を出しながら警備上最悪のトリノに来た。

 市内の酒類販売禁止は、前日からだった。フラストレーションの高まったサポーターの前で、イングランドは素晴らしいプレーを見せた。MFガスコインが高いテクニックを、FWリネカーが鋭い得点感覚を披露した。そして、何よりもフェアだった。「オレたちは試合を見に来たんだ。暴れに来たわけじゃない」。決勝進出は逃したが、イングランドのサポーターは胸を張って帰っていった。【90年大会取材・荻島弘一】

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