「一体誰?」番狂わせ速報Vは18歳NGT荻野由佳

AKB48総選挙中間発表で24位に食い込んだ山口真帆(左)と1位獲得に泣く荻野由佳

<第9回AKB48選抜総選挙:速報発表>◇5月31日◇東京・秋葉原、AKB48劇場

 5月30日に投票が始まった第9回AKB48選抜総選挙(17日開票)の速報結果が同月31日に発表され、全国的には無名の、グループ発足2年目の新潟NGT48荻野由佳(18)が1位に躍り出た。速報では過去最多得票となる5万5061票のぶっちぎり。NGT48としても、5位に本間日陽(17)7位に高倉萌香(16)と、神セブンに3人も入った。

 AKB48選抜総選挙が9年目にして、史上最大の波乱で幕を開けた。3位で、大本命指原の名前が呼ばれる。2位はSKE48松井珠理奈。すでに昨年2位の渡辺麻友も4位。「一体誰? 有力どころは全て出たぞ?」。全国6会場で見守るメンバーやネットの生配信動画の視聴者の頭には、?マークが浮かんだ。

 呼ばれたのは「NGT48チームN3荻野由佳」。新潟のNGT48劇場が、ハチの巣をつついたように大騒ぎになった。荻野は、ひざから崩れ落ち、顔面蒼白(そうはく)。仲間が大喜びして、あっという間に歓喜の輪ができた。今村悦朗NGT48劇場支配人が万歳三唱する。キャプテン北原里英に支えられながら、マイクを握るとひと言。「涙も出ない…」。荻野本人も全く予想しなかったロケットスタート。グループ結成から、わずか1年半。全国の48グループで最も小さな都市のグループから、シンデレラが誕生した。

 苦労が芽吹いた。荻野は、4年前にAKB48第15期生の仮研究生になるも、最終的には落選。翌14年のバイトAKBを経て、2年前の第2回AKB48グループドラフト会議で、新たに発足するNGT48に指名された。何が何でもAKB48グループアイドルになりたくて、故郷埼玉を離れて雪国でようやくデビューできた雑草だ。だから、人一倍にアイドル活動に精を出す。気づけば熱烈なファンがついていた。

 「総選挙は人気順というよりも『熱い順』だと思っています。NGT48は熱い。その中でも私のファンが一番熱いと、全ての人に知ってもらいたいです。私自身には、何も1番になれるものがないけれど…」と、照れながらも熱く語る。

 実は、総選挙立候補直後には、にっこり笑って、こうも話していた。「この総選挙は、指原さんにも気持ちでは負けないぐらい熱くいきたい。会場は沖縄なので、絶好の荻野日和だと思います」。

 冗談でも夢でもない。速報で、指原を超えてみせた。「まだ速報ですから、これからもNGT48一丸となって、新潟旋風を巻き起こしたいと思います」。無名のシンデレラの出現で、半月後の結末が、全く分からなくなってきた。【瀬津真也】

 ◆荻野由佳(おぎの・ゆか)1999年(平11)2月16日、埼玉県生まれ。13年にAKB48第15期生の仮研究生となるも、正規メンバーからは落選。14年9月にバイトAKBオーディションに合格し、約半年間活動したのち、15年5月の第2回AKB48グループドラフト会議でNGT48から指名を受けて加入。16年1月に劇場デビューし、同5月からチームN3の副キャプテンを務めている。160センチ。血液型A。