木村拓哉じん帯損傷、監督骨折も「全ての人の情熱」

映画「無限の住人」完成報告記者会見に臨む、左から三池崇史監督、戸田恵梨香、福士蒼汰(撮影・小沢裕)

 木村拓哉(44)の主演映画「無限の住人」(三池崇史監督、4月29日公開)完成報告会見が15日、都内で行われた。

 06年の山田洋次監督「武士の一分」以来、10年ぶりの時代劇映画への出演となった木村は「こうやって、三池組の一員として皆さんの前に登壇できて、うれしく思います。もう少しで皆さんに手渡せると思うので受け取ってください」とあいさつした。

 木村は三池監督との初タッグについて聞かれ、次のように語った。

 木村 しゃべる言語は日本語ですし、時代劇ですし、撮影場所は京都ですし…本当にザッツ・ジャパニーズなんですけど、キャスト、スタッフの皆さんのモチベーションの高さが海外の現場にいる錯覚に陥るというか。自分は出演部として現場にいたんですけど、監督をはじめスタッフのやる気、情熱、絶対に面白いものを作るという1カット、1カットの積み重なりに立ち会えたのがうれしかったですし、撮影している段階で楽しませていただきましたし、いっぱい感動させてもらいました。

 「無限の住人」は「月刊アフタヌーン」(講談社)で1993年6月から2012年12月まで連載された、沙村広明氏が原作の、累計発行部数750万部を突破した人気漫画。木村は「100人斬り」の異名を持ち、謎の老女から不老不死の、無限の肉体を与えられた万次を演じる。

 木村は1人対300人のアクションも自ら演じたが、足場が砂利のところで足を横滑りさせるシーンを演じた際、転び、右膝靱帯(じんたい)を損傷した。当時を振り返り、次のように語った。

 木村 監督のいろいろな発想、発案にどこまで近づけるかの試みは、すごく楽しかった。アクションに参加する方、全て、どのフレームに映り込んでいる、全ての人の情熱があった。撮影中のトラブルで、ちょっと自分がケガをしてしまったり、撮影自体があまりに過酷で、監督が足を折られたり、いろいろなことがあったんですけど、それでも絶対に前に進むんだ、というモチベーションが常にあったので楽しかった。

 撮影中に左足首を骨折した三池監督は、木村の話を受けて「俺の足が折れたのは老化現象。バキッといって『あぁ、これはいった』と思ったんだけど(残りの撮影を)2カット撮って病院に行ったら、病院に行ったら、『折れています』と…。翌朝、出発は6時でした」と笑った。木村は「そういうことになったら、椅子に座られたり負担をかけないものですけど、三池さんは常に現場にいていただける方。ローリングストーンズのステッカーをいっぱい張った松葉づえをついて、現場にいてくださった。松葉づえには(監督の存在を周囲に知らせる)自転車のベルがついていた」と言い、笑った。

 杉咲花(19)は、天津影久率いる逸刀流(いっとうりゅう)に両親を殺され、万に用心棒を依頼する少女・浅野凜を演じた。「木村さんは、画面に映っていない時も、私の目線にいる時はお芝居をしてくださる。ケガをされた時もアクションしてくださった。それが、ありがたくて…そのおかげで、現場に立って、本当に目の前で起きることを受け取ることが出来ました」と木村に感謝した。それを聞いた木村は「それは、みんながやっていらっしゃること。特別なことはない」とサラリと答えた。

 天津影久役の福士蒼汰(23)は「キャッチコピーにあるように“ぶった斬り”エンタテイメントがピッタリの映画」と胸を張った。尸良役の市原隼人(30)は「快楽に走る野郎を演じた。三池監督の作品が好きで、今までの時代劇の常識を一新する作品」と笑みを浮かべた。乙橘槇絵役の戸田恵梨香(28)は「こんな本格的なアクションが初めてだったので…しかも女剣士をどこまで出来るか不安だった。出来上がったのを見て、三池さん、さすがだな、救われたと思った。全キャスト、格好いいです」と三池監督に感謝した。

 三池監督は「原作の名前を汚すことなく、日本の役者とスタッフの志の高さを世界中の人に再認識してもらえる作品になった。自信を持って公開まで進みたい」と、海外への挑戦に自信を見せた。【村上幸将】