今野家ちょすな 東北弁落語で真打ち目指す20歳

20周年記念公演で前座を務める今野家ちょすな(撮影・下田雄一)

 おもしぇがったら笑ってけさいん! みちのく女性落語家のニューホープ今野家ちょすな(20)が、いよいよ一本立ちする。宮城県内の私立高に在学中、東北弁で落語を語る東方落語に入門。3年の歳月を経て、前座ながら5月13日に行われる20周年記念公演の出演が決定した。これまで定期公演での出演はあったが、周年公演での1人高座は初めて。夢である真打ち昇進を目指し、サクセスストーリーの第1歩を踏み出す。

 東北弁で落語文化を語り継ぐ東方落語。その未来を担う若手アイドルが、寄席で笑いの渦を巻き起こす。「記念公演で1人で話すのは初めてなんです。お客さんもたくさん来るし成功させたい」。演目が「桃太郎」に決まり、晴れ舞台へ向け猛稽古に励んでいる。

 縁もゆかりもなかった落語の世界に飛び込んだきっかけは、1枚のチラシだった。「母が持っていた東方落語の告知チラシを見たんです。そこに新弟子募集中って書いてあって。もともと声を出すこととか演技することに興味もあったので」と振り返る。偶然の巡り合わせで高座に上がる道を進むこととなった。

 現在、二つ目(前座と真打ちの間)への昇進を目指し、日々稽古に打ち込んでいるが50席の演目をマスターしテストに合格しなければならない。それでも、「焦らずにゆっくり覚えていきたい」と焦りはない。

 生まれこそ埼玉県だが、仙台育ちだ。「周囲で東北弁を話す友達はほとんどいません。私にとって東北弁は英語と同じ感覚なんです。これからもっとなまりを覚えていきたい」と話す。

 女性落語家の第一人者で元東方落語のメンバー六華亭遊花さんは「壁にぶつかることもあると思いますが、表現力はあるし大化けする可能性を秘めている。めげない性格も頼もしいですね。これからが楽しみです」と期待を寄せる。今年、新成人となったちょすな。20歳で東方落語20周年公演の高座に上がるのも、何か因縁めいている。「お客さんの層もいろいろで話していて楽しいです。もっと若い人にも見てもらいたい」。高座を成功させ東北弁ブームを巻き起こしたい。【下田雄一】

 ◆今野家ちょすな 1996年(平8)埼玉県生まれ。小3で山形から仙台に移住。高校3年のとき東方落語に新弟子として入門。16年4月の定期寄席で高座デビューを果たした。東方落語の中心的存在である今野家もう世師匠から命名された「ちょすな」は、仙台弁で「さわるな、からかうな」の意。

 ◆東方落語プロジェクト 東方落語は東北弁による笑いと話芸の確立を目指し97年、今野家東(故今野東衆院議員)によって立ち上げられた。毎月1回(第2日曜日)、仙台市内で定期寄席を開催している。大阪の上方落語、東京の江戸落語にならい、仙台から東北弁の落語文化を発信する。

<東方落語20周年記念公演>

▼開催日時 5月13日(土) 昼の部 午後1時開演、夜の部 午後5時開演、開場各公演30分前。

▼木戸銭 (全席自由席)前売り2800円、当日3000円。

▼会場 仙台市シルバーセンター 〒980・0013、仙台市青葉区花京院1の3の2

▼チケット取り扱い先 (株)藤崎、(株)仙台三越

▼問い合わせ先 東方落語プロジェクト 【電話】070・5622・2552

<東方落語20周年公演の演目>

前座 今野家ちょすな=桃太郎

今野家ふぁんた=ぜんざい公社 

今野家がめら=お玉牛

まつトミ=遺言

今野家世はね=道具屋

六華亭遊花=稽古屋

今野家もう世=田能久

<東方落語定期寄席>

▼日時 毎月第2日曜日

▼昼の部 午後1時開始、夜の部 午後5時開始。

▼開催場所 仙台市青葉区国分町2の10の33 仙台地物屋 炉だん