嗣永桃子「達成感に満ちあふれてる」引退挨拶全文

ラストライブのアンコールのMCで涙をこらえる嗣永桃子(撮影・河野匠)

 「ももち」こと嗣永桃子(25)が6月30日、東京・青海の野外特設会場で、ラストライブを開催した。アイドル生活15周年の記念日でもあるこの日をもって、芸能界を引退した。ハロプロキッズ(現ハロプロ研修生)、Berryz工房、カントリー・ガールズと、これまで各グループに所属した日数は計5479日。スキャンダル一切なしでアイドル道を貫いた「アイドル期間最長」のレジェンドが、活動にピリオドを打った。

 アンコールでのあいさつ全文は以下の通り。

 2002年6月30日にハロプロキッズに入ってから今日で15年。本日をもちまして、アイドルを卒業します。

 今日は、6月。梅雨の時期というのに、こうやって、こんなにもたくさんの方が会場に集まってきてくれて、本当にうれしく思います。ありがとうございます! そして、全国のライブビューイングで見てくださっている方。ニコニコ生放送で見てくれている方。今日は残念ながら都合が合わなくて、この会場を見ることができなかったけれども、エールを送ってくださっている方。たくさんの方に見守られながら、卒業できること、本当にうれしく思います。

 15年前の私は、全然こうなるとは思っていなくて、つんく♂さんに「あなたはアイドルです」と合格をいただいて、その時は本当にこうなるとは全く想像していませんでした。私をアイドルにしてくださったつんくさん、どうもありがとうございます。

 多分、多分だけど、つんくさんにとっては、私は相当やっかいな子だったと思うの。だって、自分をこういう風に見てほしいとか、こういう自分が一番いいからこれがいいとか、自分が好きすぎるあまり、こだわりが強すぎて、悩ませてしまったこともあると思います。ごめんなさい。許してニャン。

 だけどそうやって、こうなりたいとか、自分の目指しているアイドル像を貫くことができて、達成感に満ちあふれています。こうやって、自分を貫くことができたのは、こんな私を許して、受け入れてくれたファンのみなさん、そしてメンバーのみんなの優しさがあったからだと思います。

 Berryz工房のメンバーは、ちっちゃいときから、今まで、楽しいところも、ちょっと大変だったところも、一緒に全て共有してきました。今日1日限りのももち結び、魔法が復活して、一夜限りになったんですけど、世間からはすごく強烈だと言われた私のあのキャラクターが1ミリも浮かない。なかなかないと思うんですよ。ねえ? バラバラだけど一体感があるよね、とか言ってもらえるグループにいれて本当にうれしかったし、Berryz工房がなかったら、今の私はありません。ありがとう。

 そしてBuono!。派生ユニットっていうのかな。メインにやっている活動があることで、派生ユニットとしてやっていたにも関わらず、本当にたくさんの方が愛してくれた、そんなグループになりました。私は、かわいいだけが武器だとずっと言っていたんですけど、ロックな楽曲ってものに出会って、今まで自分が全然知らなかったかっこいい自分に出会えて、そんな私も好きって言ってくれる方もいて、すごくうれしかったです。3人組の中で一番年上で、リーダーっていうこともあったんですけど、パフォーマンスの面では、2人に完全に頼りっぱなしで。特にハモり。メインがハモにつられるって現状、そんな珍現象知ってますか? あったんです実際。そんな時でも、私がつられないように、マイク挑戦してくれて、プロの技を見せてくれたりとか、たくさん練習に付き合ってくれて、本当に恵まれた環境だったなと思います。どうもありがとう。

 カントリー・ガールズは、はじめ、2~3年かけてやるって言ってたから、もちろん全力でやるんだけど、まさか、ここまでこのグループを好きになるとは思いませんでした。はじめは、Berryz工房の活動停止が決まってから入ることになったから、兼任期間があって、Berryz工房が活動停止になって、ここから本格的にカントリー・ガールズやりますってなった時に、なんとなく私以外のメンバーでグループの雰囲気とかできあがっていて、ファンの皆さんもだし、事務所の方もだし、「あれ、これももちいらないんじゃね?」っていう空気がしゃれにならないくらいあって、どうしよう居場所がないかもしれないって思ったんですけど、そんな時誰よりも優しく手を差し伸べてくれたのは、メンバーのみんなでした。

 カントリー・ガールズはいて心地が良くて、それは、私の年下にとけ込む能力が高いからとか、適応能力がすごいからとかそういうことではなくて、メンバーのみんなが私の居場所を作ってくれたんだなって思います。これから、カントリー・ガールズは新しい体勢で活動していくことになりますが、カントリー・ガールズがなくなるわけではありません。新曲のリリースがあったら、しっかり歌詞を覚えるくらい聴くと思うし、ライブも単独ライブとかあったら、こっそりだけど、見に行きたいなって思います。こっそりね。メンバーのみんなと約束したんですよ。すばらしい出来だったら、みんなでももちのおごりで、高級焼き肉行こうと。まあまあみたいな出来だったら、ファミレス? チェーン店? だからみんなと一緒に早く高級焼き肉を食べに行きたいなって思います。今までのようにメンバーの近くで見守ることはできないから、ファンのみなさん、5人をよろしくお願いします。

 同期や後輩が、自分たちの道に進んでいく中、次は、私の番です。卒業を決めた時、「頑張ってね」「次の道応援してるよ」って、声をかけてくれたファンの皆さん、どうもありがとう。その言葉に後押しされて、背中を押されて、よし、これは絶対に成功させてみせると、より気が引き締まりました。そして、「やだよ、ももち卒業しないで~」「生きていけないよ~」って、卒業を引き留めてくれた皆さん、どうもありがとう。こんなにも私は愛されているんだって、実感しました。

 私は本当に自分が大好きです。ステージで歌って踊って、こうしてMCしたりとか、バラエティーでニャンニャン頑張って、後輩と張り合って、同期にいじられて。どんな私も大好きです。だけど、こんなふうに自分を好きになれたのは、間違いなくファンのみなさんのおかげです。ファンの皆さんが、「ももち好きだよ」とか「ももちさすがだぞ」ってちやほや褒めてくださるから、自分に自信が持てて、さらに、自分が好きになることができました。

 (言葉に詰まって、涙をこらえる。歓声を浴びると、「フフフフフ」と照れ笑いする)

 最後になりますが、私に出会ってくれてどうもありがとうございます。「ももち幸せになってね」って言ってくれて本当にうれしかったです。でも私は、見ての通りビジュアルもいいし、愛嬌(あいきょう)もありますし、それにもって運まで持っているから、大丈夫です。みなさん。みなさんのほうが、絶対に幸せになってください。この15年間、たくさんの愛を、本当にありがとうございました!