松田龍平が映画で棋士役、魅力にハマり腕前も急上昇

映画「泣き虫しょったんの奇跡(仮題)」に主演する松田龍平

 俳優松田龍平(34)が、映画「泣き虫しょったんの奇跡(仮題)」(来年公開)で初めて棋士を演じることが15日、分かった。サラリーマンから将棋のプロ棋士になった瀬川晶司五段(47)の自伝的小説が原作で、少年時代にプロ棋士を目指していた豊田利晃監督(48)がメガホンを取る。

 松田は今月末のクランクインを前に、約3カ月前から将棋の特訓を始めた。子供のころ遊びで指していたことはあるが、同作のために瀬川五段から直接指導を受けている。週1~2回のペースで対局し、仕事の合間にはゲームで腕を磨き、携帯盤も手放さない。今では、周囲のスタッフ誰もが勝てないほどになった。

 プロ棋士養成機関「奨励会」も見学し、居住まいや、表情、雰囲気などを吸収した。松田は「瀬川棋士に指導していただき、駒に触れるたびに将棋の魅力に引き込まれています」とコメント。最近、藤井聡太四段(15)の活躍などで将棋界が盛り上がっている。瀬川五段も「松田さんの腕前は、ほぼ初心者状態から格段に上達しました。集中力は驚異的。さらに実力アップされていくはず。将棋ブームですし、これを機に松田さんにもぜひ将棋にハマっていただきたい」と期待を寄せる。

 豊田監督作品への出演は4作目で、単独主演での出演は「青い春」(01年)以来16年ぶり。松田は「この映画で豊田監督とタッグを組んで挑めることをうれしく思います」、豊田監督も「松田龍平と新しく出会えるチャンスを与えられたことに喜びを感じています。と同時に龍平と組む時は絶対負けられない」と意気込みを語った。豊田監督は少年時代に「奨励会」に所属していただけに、指遣いや棋士の心情など、経験者ならではのこまやかな表現も注目される。

 幼なじみ役で、昨年大みそかのNHK紅白歌合戦に初出場したロックバンド、RADWIMPSの野田洋次郎(32)が出演。松田とはプライベートで親交があり「友達として一緒にいる時は見られない松田龍平の姿を見て、刺激をもらいたい」と撮影を楽しみにしている。

 ◆「泣き虫しょったんの奇跡(仮題)」 プロ棋士を目指し、奨励会に入会した晶司(松田龍平)だが、「26歳の誕生日までに四段昇格できない場合は退会」という規定へのプレッシャーで勝てなくなる。退会を余儀なくされ、絶望を味わう晶司だが、将棋を指す喜びを思い出す。友人の悠野(野田洋次郎)や家族、周囲の人々に支えられながら再び夢に挑戦する。