【棋王戦】藤井聡太竜王、最終盤で痛恨の詰み逃しガックリ「全体的に負けの局面が続いていた」

終局後、頭を押さえる藤井聡太竜王(日本将棋連盟提供)

藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が渡辺明棋王(名人=38)に連勝した、将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第3局が5日、新潟市「新潟グランドホテル」で行われた。局面が二転三転する激戦の末、午後8時13分、174手で先手の藤井は敗れた。対戦成績はこれで2勝1敗となり、第4局(19日、栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」)を迎える。

珍しく最終盤で詰みを逃した。「先手2六飛(155手目)で、先手2五歩と打てば(以下詰み)。一瞬チャンスがあったと思いました」。気付いた時は遅かった。好機を逸し、ストレートでの史上最年少6冠と、初の棋王獲得が持ち越された。終局の10手ほど前からはガックリうなだれたり、両手で頭を抱えたり、天井を仰ぐ。「あー、いやぁ」とつぶやいた。負けを意識した時のしぐさを見せた。

角換わり腰掛け銀で、中盤までは互角だった。「手の広い局面でいい組み合わせが分からず、誤算があって負けにしていると思いました」。渡辺との差をじりじりと詰めたが、「全体的に負けの局面が続いていました」と振り返った。

タイトル戦の対渡辺戦では3年前の棋聖戦5番勝負第4局で初タイトルを獲得して以来、一昨年の棋聖戦5番勝負3連勝、昨年の王将戦7番勝負4連勝、今期2連勝していたが、ここで止まった。

とはいえ、有利な状況に変わりはない。初めてタイトル戦に登場した20年の棋聖戦5番勝負は連勝し、7月9日の棋聖戦5番勝負第3局(東京)に敗れた後、中2日で札幌市に移動。13~14日と王位戦7番勝負第2局(木村一基王位=当時)を戦い、15日に大阪市へと移動。16日に同市で行われた棋聖戦第4局で初タイトルを獲得した。

藤井はここまでタイトル戦での連敗がない。8日に渡辺名人への挑戦権を争う広瀬章人八段(36)とのA級順位戦プレーオフ(東京・千駄ケ谷「将棋会館」)、11~12日の王将戦7番勝負第6局(佐賀県上峰町)をこなせば、日程的に余裕が生まれる。

巻き返して初の棋王獲得となれば、1994年(平6)12月に羽生善治現九段(52)が24歳2カ月で獲得した6冠達成記録を3年7カ月更新し、20歳8カ月での史上最年少6冠となる。【赤塚辰浩】

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