藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が渡辺明棋王(名人=38)に挑戦している、将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第3局が5日、新潟市「新潟グランドホテル」で行われた。対局は連勝して初の棋王獲得まであと1勝としていた先手の藤井が渡辺に敗れ、シリーズ初黒星を喫した。対戦成績2勝1敗で、第4局(19日、栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」)を迎える。

史上最年少6冠獲得を前に足踏みした。得意なはずの先手番で藤井がブレークされた。火種が点在していた6~8筋で対応を誤る。リードを奪って一気に評価値が上昇する「藤井曲線」とは逆に、評価値の曲線が下がっていった。

タイトル戦の対渡辺戦も3年前の棋聖戦5番勝負第4局で初タイトルを獲得して以来、一昨年の棋聖戦5番勝負3連勝、昨年の王将戦7番勝負4連勝、今期2連勝していたが、ここで止まった。

とはいえ、有利な状況に変わりはない。初めてタイトル戦を戦った20年の棋聖戦は連勝の後に1敗し、立て直した。新型コロナウイルスの緊急事態宣言明けでバタバタと日程が組まれたが、7月9日の棋聖戦5番勝負第3局(東京)に敗れた後、中2日で札幌市に移動。13~14日と王位戦7番勝負第2局(木村一基王位=当時)を戦い、15日に大阪市へと移動。16日に同市で行われた棋聖戦第4局で初タイトルを獲得した。

藤井はここまでタイトル戦での連敗がない。8日に渡辺名人への挑戦権を争う広瀬章人八段(36)とのA級順位戦プレーオフ(東京・千駄ケ谷「将棋会館」)、11~12日の王将戦7番勝負第6局(佐賀県上峰町)をこなせば、日程的に余裕が生まれる。

巻き返して初の棋王獲得となれば、1994年(平6)12月に羽生善治現九段(52)が24歳2カ月で獲得した6冠達成記録を3年6カ月更新する、20歳8カ月での史上最年少6冠となる。