【凱旋門賞】世界がうなる「帽子の男」矢作師の戦略「小粒ってことはない」/インタビュー前編

矢作師(2023年撮影)

「帽子の男」「世界の矢作」が激白-。凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月6日=パリロンシャン)にシンエンペラー(牡3)で挑む矢作芳人調教師(63)のロングインタビューを前編、後編の2回に分けてお届けします。

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-前走の愛チャンピオンS(3着)を振り返って

ちょっとジョッキーが甘かったかな。欧州の騎手に比べるとまだまだ。本人(坂井騎手)が一番よく分かっている。ある程度は予想できたけど、まんまとやられた。

-欧州の馬場への適性は

(レパースタウンの芝は)パリロンシャンとはまったく違うけど、「欧州の馬場」というくくりでいえば合っている。(愛チャンピオンSの)前日に歩いて硬いと思ったけど、当日はもっと硬くなっていた。日本の馬に向いている馬場だった。でも、微妙なアンジュレーション(起伏)があって(直線は)緩やかだけどずっとダラダラ上っている。そういう適性がすごく良かったのは収穫。

-当時の状態は

7~8割がいいところ。良くなかった皐月賞の状態ぐらいまでなんとか戻そうというところだった。瑠星も追い切りの時に「皐月賞ぐらいか?」と聞いたら「そこまでいってくれたらいいですけど…」と言っていた。暑さで状態を上げられなかったし、歩様も良くなかったけど、どんどん良くはなっていた。

-前走後の状態は

普通の疲れはあったけど、ある意味、余裕残しでラストだけの競馬だったので負担は軽かった。

-前走の6日前にはパリロンシャンの芝で追い切りを行った

待機馬房からパドックへ行って、凱旋門賞では本馬場入場で(他馬と並んで)歩かないといけないので、スクーリングをした。あの時点においてシャンティイでのんびりしすぎていたけど、ピリッとして良くなった。香港ではリスグラシューがイレ込んだりしたけど、俺の感覚では、欧州へ行くと馬がのんびりしすぎる。それを防いだ方がいい。

-パリロンシャンの芝への適性は

こればっかりは結局、トライアンドエラー(試行錯誤)を繰り返すしかない。(シンエンペラーの)血統、バランス、走り方は向いていないわけがない。極悪馬場だと何とも言えないけど、道悪が下手とは思えない。当日に降らなくても、9月になるとどうしても雨が増えてくる。それは織り込み済みです。

-2年前にステイフーリッシュで初挑戦した

直前までは普通の重馬場だった。それぐらいでやりたかった。思うのは、今回(のシンエンペラー)は当てはまらないけど、軽い馬の方がいいかも。去年(アルピニスタ)にしても、見栄えのしない牝馬が走っているので。

-3歳で挑戦する意義は

当然、意識している。行くなら3歳で行きたい。去年から(JRAのレースでの負担重量が)1キロ増えたけど、それでもまだ60キロにはアレルギーがある。それを考えると、いきなり(牡の古馬が出走した時の59・5キロ)はきつい。

-凱旋門賞挑戦の決め手となったのは

ダービーでどんなレースをするかで判断しようと思っていた。ダービーも決して上手に乗ったレースとは思えない。日本の競馬はレベルが高いし、速い馬場に向いた走りではないので。

-今年の相手関係は

強いと思う。平均に粒ぞろい。飛び抜けて強い馬はいないし「今年は小粒」みたいに言われるけど、小粒ってことはない。ハイレベルなメンバーで拮抗(きっこう)している。

-気になるライバルは

(ヴェルメイユ賞を勝った)ブルーストッキングに追加登録で出てこられたら嫌だな。ユタカが乗る馬(アルリファー)も気になる。あとはフランスの3歳勢がどれだけ強いか。もちろん、そんなに簡単ではないけどノーチャンスではない。

【インタビュー後編はこちら】――>>矢作師「勝ったらやめてもいいぐらい」シンエンペラーで夢挑戦