南伊豆・須崎 狙ってなかった5.4キロヒラメ釣る

イサキの仕掛けで5.4キロのヒラメを釣り上げた渡辺武広さんはこわばった表情で「やったぜ」

 狙った獲物よりも、うれしい外道が釣れたら、どうですか? 南伊豆・須崎「静栄丸」では1年を通して釣れるイサキを掛けた直後、巨大なヒラメが掛かっちまった。たとえ本命にふられても、いい釣りはできますよぉ~!

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 初心者にとって何が怖いか。何も釣れずに帰ること。確実に魚を手に入れたい。釣れた瞬間のプルルンを何度も感じたい。ならば、須崎のイサキをオススメします。

 須崎沖のイサキは季節を問わない。よく言われるのは、ちょうど今ごろの「寒イサキ」、そしてしとしととそぼ降る雨の6月前後の「梅雨イサキ」。どちらも皮下の脂が乗ってきて、皮をあぶって刺し身にすると、甘い香ばしさが口の中で暴れまくる。皮下を堪能できるのもイサキらしい食味でもある。

 須崎沖のイサキは、不思議なもので、海域のプランクトンが豊富なのか、季節を問わず、いつでも脂乗りがよく、しかも数釣りができてしまう。ビギナーでもタナ(魚の泳層)にハマればいつまでも引き味を楽しむことが可能なのだ。

 手返しを考慮すれば仕掛けは全長6メートルの2本バリがいい。魚影は濃いので、慣れているヒトには3本バリに挑戦してもらいたい。ブルンときても慌ててリールを巻き上げない。しばらく待つと、サオ先の震動がさらに激しくなるため、ハリに次々にイサキが掛かっていくのが分かる。

 さらに大事なのはタナ取りだ。土屋法久船長は海面からの深さを指示する。「上からとる」というタナになる。注意したいのは、電動リールに表示されるカウンターの水深数値。これは信じてはいけない。わずかではあるが誤差が出ることが多い。

 確実なのは道糸で見ること。PEラインは10メートルごとに色が変わり、1メートルごとに印がついて、5メートルを刻むと印が違う色になっている。「だから、最初のPEの色が10メートル未満の場合は、その色は思い切って切り捨ててください。釣果はまったく違ったものになりますから」と土屋船長はアドバイスした。

 さて、大ビラメだ。静栄丸の大ファンで、富士宮市から通っている渡辺武広さん(59)で、イサキの3本バリ仕掛けの一番下のハリに食いついてきた。イサキを3点掛けさせたくて、しばらく待った。激しくサオ先が上下動していたが、さらに強いアタリが来た。

 サオを握った渡辺さんは「こりゃ、なんだかデカい」とうなった。あげると大きなヒラメだった。3本目のハリに食らいついたイサキの後方半分が食いちぎられていた。計測すると5・4キロ。イサキを釣っているだけで、こんなヒラメのお土産も待っている。渡辺さんは「いつきても面白い。須崎の海がイサキだけじゃなくて、ヒラメなんぞが釣れる引き出しの多さ、自然の濃さが体験できてよかった」と話した。

 初心者には優しく指導してくれますよ。暖かな南伊豆に足をのばして、イサキをじゃんじゃん釣って、あわよくばヒラメも狙ってみませんか?

 ▼船 須崎「静栄丸」【電話】0558・22・5223。イサキの乗合は午前6時集合、エサ、コマセ、氷付きで1万4060円(税込み)。サオは胴調子2・4メートル前後、道糸4号と両軸受けリール。片天ビンにコマセカゴ80号。クッションゴムは直径1ミリ1メートル。ハリス3号全長6メートル、ハリはグレ11号。要予約。