17年度船釣りダービー優勝者決定、8大会激戦展開

仙台市の三島さんは昨年9月7日、大海丸でヒラメ102センチをゲットし大会初の女性優勝

 日刊スポーツ新聞社指定「東北釣り共栄会」(釣り速報◎印)の加盟各店で開催していた「2017年度日刊スポーツ盾争奪・船釣りダービー」(別表参照)の優勝者が決定した。開催4年目の本年度は、それぞれカレイ、アイナメ、ヒラメ、マダイ、深海釣りを対象にして8大会で激戦を展開した。各優勝者には日刊スポーツ新聞社盾とオリジナル・ブルゾンが贈られる。

<大海丸ヒラメ釣りダービー>

 ◇17年6月1日~12月30日◇ヒラメ1匹の全長

 仙台湾・荒浜漁港沖の巨大ヒラメ争奪戦は、ヒラメ釣り初挑戦初ヒットの女性が制した。船釣り自体3度目の三島典子さん(73=仙台市太白区)が昨年9月7日、102センチ(9・9キロ)をヒット。ヒラメ・ハンター憧れの1メートル超えで年間王者に輝いた。

 「仙台 男子厨房に入ろう会」(男厨会)の釣り同好会に所属。この日、14人が参加した大会の紅一点で初優勝した。数釣り自慢の大海丸でも「3年に1匹の割合」というヒット確率の1メートルオーバー。午前8時過ぎ、左舷後ろから2番目で幸運をゲットした三島さんは「重くてみんなに手伝ってもらった。オバケみたい。びっくりした」と海面に浮上した巨大な影に驚いた。後日、祝勝会も行われ、仲間から額縁入りの写真もプレゼントされた。

<晋漁丸ヒラメ釣りダービー>

 ◇17年5月1日~10月30日◇ヒラメ2匹の総全長(期間中何度でも入れ替え可)

 宮城・塩釜市の小原伸晃さん(46)が大会史上初の2連覇を達成。昨年8月23日、自己最大の94センチをゲット。10月15日には87センチを追加し2匹の総全長で、自己記録を8センチ上回る計181センチの大会新で優勝した。

 大会期間中は、晋漁丸に計50回乗船し、80センチ超4匹を含む約260匹のヒラメをゲット。1日最高は21匹(9月24日)で「最低1匹は釣る。ボウズ(釣果0)はなかった」というヒラメ・キラーだ。6月下旬に早々と首位に立ち、貪欲に自己記録を塗り替えた。小原さんは「1割が努力で9割は運。あとは(乗船の)回数が多いので確率かな。晋漁丸の客は初めての人以外は全員分かるよ」と超常連ぶりを発揮した。

<善松丸カレイ釣りダービー>

 ◇17年4月1日~12月30日◇カレイ類1匹の全長

 磯釣りを含め、釣り歴60年以上の千葉久吉さん(81=仙台市青葉区)が昨年4月2日、仙台湾・大型漁礁沖でイシガレイ69センチをゲット。創業38年目を迎えた善松丸釣具店のイシガレイの船中レコード。釣行時は80歳で自身の傘寿を祝った。

 この日は所属する「ポイント釣り師名人会」の仲間3人で乗船。船全体で60センチ超6匹を含む50センチ超12匹が乱舞する「お祭り騒ぎ」の中、62センチも仕留めて年間優勝を決めた。7・3調子の柔軟なカレイザオと小型電動リールを愛用した千葉さんは「釣りは下手な方ですが、よく釣らせてくれる」と善松丸に感謝。年齢でも歴代最高齢王者に輝き、太公望の風格を示した。

<えびす屋釣具店カレイ釣りダービー>

 ◇17年4月1日~12月30日◇カレイ類1匹の全長

 乗合船「かもめ7号」で昨年4月5日、自己最大のイシガレイ65・5センチをヒットした小川善浩さん(47=宮城・大和町)が初優勝した。マコ・マガレイが中心になる仙台湾・大型漁礁沖の流し釣りで「約3割がイシガレイだった」という特異日? に遭遇。左舷中間の釣り座で約80匹を釣り上げる中、ほかに50センチ級2匹のイシガレイをヒットさせたという。

 カレイ釣りを中心にして船釣り歴15年以上。最近は「数も型(サイズ)も狙える」と年5、6回ペースで大型漁礁沖を攻略する。大物狙いの自作の3本バリ仕掛けは幹糸8号、ハリスはホンテロン4~5号を使用して全体の張りを最優先。大きめのハリにアオイソメの房掛け勝負で大型ヒットの確率を高めている。

<謙信丸カレイ釣りダービー>

 ◇17年4月1日~12月30日◇カレイ類1匹の全長

 仙台市太白区の相原悟さん(57)が昨年11月28日、イシガレイ60センチをゲットし、年間釣りダービー初制覇を決めた。この日は義父の菅野孝太郎さんとともにサオを出し、先にイシガレイ58センチをヒットした孝太郎さんを上回り優勝した。

 妻正美さんとは結婚26年目。謙信丸には、佐藤謙次オーナー(ともに76)と幼なじみの孝太郎さんの紹介で乗船。年4、5回、義父と船釣りを楽しんでいる。過去、青森の深海釣りでアブラボウズ1メートル超やカラスガレイ85センチのヒット実績を持つ。相原さんは「マダコも釣ったので運がいいと思っていた。深海釣りは電動リールで(手巻きの)カレイ釣りでは今までにない異次元の引きだった。(孝太郎さんは)釣りの師匠なので恩返しできた」。

<鯛紅丸マダイ釣りらりぃ>

 ◇17年6月1日~12月30日◇マダイ1匹の全長

 山形・飯豊町の井上祥太さん(25)が昨年10月21日、初めて乗船した鯛紅丸のルアー釣りで83センチ(7・5キロ)をヒット。自身2度目の船釣りで、腕自慢が集まる年間マダイ釣りダービーの頂点に立った。

 釣り仲間4人と新潟東港を午前5時30分に出船。根回りでソイやキジハタなどをヒットした後の同9時30分過ぎ、水深80メートルラインのボトム(海底)近くで本命ゲットに成功した。ルアーは赤とシルバーのタイラバー100グラム。井上さんは「根掛かりかなと思ったら、グッと抑え込まれて引く感じになった。ドラグ(リールの逆転ブレーキ)も出てかなり重かった」と取り込みまでの約10分間を振り返った。鯛紅丸ではマダイ80センチ以上に贈られる賞品もゲットし、終始笑顔だった。

<賀都屋明神丸アイナメ釣りダービー>

 ◇17年4月1日~12月30日◇アイナメ1匹の全長

 福島・郡山市の渋谷忠承さん(66)が昨年6月26日、根魚狙いの五目釣りで54センチ(2・08キロ)をヒット。船釣り歴30年の自己ベストで年間優勝を決めた。ヒットポイントは水深30メートル前後の根回りで、冷凍イワシをエサにしてヒラメ10匹もゲット。右舷後方で幸運を手にした渋谷さんは「アイナメは5匹釣れたが、2キロを超えたのは初めて」と振り返った。「そこに海があるから」とシーズン中は週2回ペースで釣り場に通う。ホームにしていた富岡、双葉町沖は震災に加えて原発事故の影響も大きかった。賀都屋明神丸も昨年から本格的に営業を再開した。渋谷さんは「相馬沖は魚がたまっている。連覇を目指す」と王座防衛を誓った。

<光勝丸深海釣りダービー>

 ◇17年5月1日~12月30日◇赤もの類(メヌケ、アカムツなど)の全長及び総数

 茨城・ひたちなか市の矢吹哲也さん(58)が昨年12月3日、最大47センチを含むアカムツ17匹をマークして初タイトルを獲得した。静岡や千葉沖も加え、「釣れる所はどこでも行く」という釣り歴30年のベテランだ。

 ヒットポイントは小名浜港沖の水深240メートルライン。仕掛けはオモリ200号セットの胴付き3本バリ。あえてハリ数を抑えている矢吹さんは「アカムツは回遊している魚なので群れに当たったら手返しが大事。仕掛けが絡んでも処理しやすい」と数釣りのコツを明かした。メヌケ類やキンメダイなどと並ぶ中深海の赤魚の代表格。「赤もの」に魅了された矢吹さんは、副賞のオリジナル・ブルゾンも「赤」を希望した。