駿河湾・御前崎 マダイ5キロも 乗っ込み真っ盛り

このサイズはよく釣れる。後方ではハリスをたぐって、もうちょいであがるところ

 駿河湾のマダイ、乗っ込み真っ盛りだ。特に御前崎では2~3キロ台を中心に、5キロ前後がドカンと掛かってしまう。5月31日までは、3匹の重量勝負になる「駿河湾マダイダービー」も開催中で、まだまだ挑戦者を募っている。御前崎沖の15メートル以上の長いハリスを使う独特の狙い方を含めて、リポートする。

 御前崎沖には宝の山が転がっている。港から10マイル(約16キロ)離れたエリアが「小森」と呼ばれている。マダイの人気ポイントだ。「オモリ」と読む。漢字では「コモリ」などとも間違えられるため、表記としてはカタカナの方が多い。

 太平洋上の魚が集まるオアシスのようであることから、付けられた名称らしい。水深は70メートルで、なだらかなカケアガリになっている。地形の変化がある場所なので、潮が激しくぶつかり、層の違いでその潮の流れの方向やスピードが変わってくる。よく「二枚潮」などと言われる現象だが、ここは二枚どころではなく「三枚」「四枚」ということだって、当然のようにある。

 魚にとっては新鮮なプランクトンがわいて、多くの小魚の群れが回遊するパラダイス。大きなマダイや青物の釣果実績があっても、不思議ではない。

 この独特の潮をどう攻略するか?

 「博栄丸」の大沢洋輔船長は「普通はサルカンを挟んで6号と4号のハリスを結んで、強度を出す。でも、海中でウネるような御前崎沖では通用しない。3~5メートルおきに重めのガン玉やサルカンを打って、できるだけハリスがまっすぐ降りていく工夫は必要ですね」とアドバイスしてくれた。縦横無尽に走る潮に負けない仕掛け。船中での手作り仕掛け率が高い理由が、よく分かった。

 結果から言うと、タコボウズ記者は2キロ弱を1匹。ガン玉を仕込まずに4号15メートルのハリスで反応なく、大沢船長から“ガン玉情報”を仕入れて、手持ちで軽く誘った。しばらく静止状態を保っていたら、ガツン! マダイは正直だ。

 今年は、サクラの開花が早かったからなのか、3月下旬から乗っ込みの気配があった。今、まさに真っ最中で、釣れるオスは婚姻色のすすけた黒をまとっている。3月10日からスタートした駿河湾マダイダービーでは、博栄丸から乗り込んだ佐野哲之さん(44=静岡県富士宮市)が今月1日に5キロと2・9キロ、14日には5・62キロを釣り上げて3匹合計13・52キロでトップに立っている。トップ10は3匹で8キロ台と、ダービー大盛況だ。

 オモリでの21日現在の状況は、大沢船長によると「マダイの反応は底から20メートル。浮いているね。警戒心の高いマダイに悟られないように、海面から35~40メートルでコマセを振らないと感づかれてしまう。タナが浮いてきて面白くなってきた」と分析した。乗っ込みダイ春の陣-。御前崎沖は、これから本番を迎えようとしている。【寺沢卓】

 ▼船 御前崎「博栄丸」【電話】0548・63・3337。集合午前5時で集まり次第出船。5月から集合時間が早まる予定。氷付きエサ別で1万1000円、コマセのオキアミブロックは1個1000円で、下船時にまとめて精算。集合地は、御前崎港の海上保安本部の船が停泊している周辺。要予約。首都圏からの車での移動ならば、東名・相良牧之原インターを下車後、相良バイパスを経由して御前崎港へ。