電気ウキを使う夜釣りで知られる相模湖のヘラ-。なんと、昼間でもできるんです! イラストリポートでおなじみの「ハットリ」こと服部紫野さんが、16日に急きょ挑戦してきました。もう“忍耐”のひとこと。ハヤの大群の猛攻を無視して、ひたすらヘラの登場を待つ。開始から約13時間後、10尺のサオがきれいに曲がりました!

 こんにちは、ハットリです。

 大きなワカサギ釣りで訪れたことのある相模湖。首都圏から車で約1時間で、しかも船宿の柴田は、中央道相模湖インターを降りたら、30秒で到着。すごい近い。それでも自然にあふれかえっている。湖が若草色の新緑に取り囲まれている。深呼吸して新鮮な空気をたっぷり吸い込むと、体がマイナスイオンで浄化された感じがしますねぇ~。

 そしてターゲットのヘラですね。相模湖のヘラ、って電気ウキを使用した夜間の釣りというイメージ。だから、関川康夫師範代に「おお、ハットリよ、昼間の相模湖はデカいのと戦えるぞ」と誘惑の電話を受けて、その場で16日の釣行を決めてしまいました。柴田では10年前まで42センチ以上は魚拓をとっていたんです、って。おーし、42センチの大物目指すぞぉ~!

 相模湖・天水ワンド。このエリアだけはヘラ師の天国です。バスマンもワカサギを狙う釣り人も入れない。ヘラ師だけの特別な釣り場なんですね。立派な竹が浮いていて、すでにそこには植栽のように草が生えています。ちょっとしたお庭の風情。気持ちいいです。

 天水は奥にも広がっていますが、ヘラがモジる(はねる)場所や橋本店主の情報から、ヘラがまだ手前にいると読んで、天水入り口付近にボートをつけました。

 今年はハヤが多いんです。ウキがカッカ、カッカ、って勝手にダンスを踊る。最初はこんなに動くウキも珍しいので、ちょっとうれしかったんですが、これが10時間以上も続くとため息しか出てきません。ヘラ、どこにいるんだ?

 師範代が30センチ超を釣り上げた。時間は午後2時。釣りが始まる前から「いいか、午前中は多分何もこない。勝負は午後2時以降だ」との師範代の予言が的中した。すげぇ~。

 釣れたけど師範代は厳しい表情です。「相模湖のヘラはさ、こんなんじゃちっけぇ」と、やはり42センチを基準としているみたい。数釣りにはない大物釣りのロマンですかねぇ~。相模湖は1日サオ出して、1匹釣れればいい。今はハタキ(産卵期)を予測して大潮を狙ったんだけど、まだみたい。いつ産気づくんだよ~。

 ハヤの猛攻が少しずつ引いてきてる。一瞬ウキが静かになる。でもブラックバス、マブナ、半ベラ、ニゴイ、コイ、そして思い出したようにハヤ。なぜかヘラだけが食ってくれない。

 師範代 ヘラが現れれば、ハヤの大群はクモの子を散らしたようにいなくなる。必ずどこかでそんな時間帯がくる。ここからが本当の勝負なんだ。

 そして相模湖に「ラスト1時間」を告げるチャイムが鳴り響いた。「どうやら最終ゴングだな」(師範代)。

 残り15分。まだ明るい。あと1時間はできそう。夏に向けて夕方でも明るくなってきている。心は晴れないけど。あれっ? ウキが静かになった。シュポン! ウキがなじんだ直後、今までとは違うアタリがきた。それも突然。

 師範代 あれなんだよ。ヘラだったな。気を抜いちゃいけないんだ。

 ウキに気持ちを預ける。なじんだ。ハヤのちょっかいはない。もやもやと動いた。これ、ヘラだ。タイミングをはかって合わせた。10尺のサオがギュンと曲がった。この感触はこの日初めて、待ちに待ったヘラだった。30センチちょっと。相模湖の大きさじゃないけど、サオを振り続けた13時間が報われたなぁ。印象としてはハタキだから底釣りなんだろうなぁ、と思っていたけど、まだ宙釣りですね。気付いたら、周囲が暗くなっていた。さあ、帰ろう。(第2期生・服部紫野)

 ★エサ(両ダンゴで上バリのバラケは大きめ、下バリの食わせは極小サイズで。単位は50cc)

マッシュポテト2

藻べら1

マッシュダンゴ1

わたグル1

水6

※粘りが出たり、硬くなるため、野球の硬球サイズくらいの量でその都度作る。

 ★仕掛け 道糸・へら道糸野づり2号、ウキ・外径1・7ミリの太トップ、ハリス・へらハリス野づり1号(上30センチ下40センチ)、ハリ・サイト13号

 ▼相模湖「柴田」【電話】070・3660・6363。午前5時出船、午後6時帰着。ボート料金は3500円、テント付きは4000円。入漁料なし。橋本店主は「今年のヘラはちょっと遅れてる。大好物のプランクトンが大量発生したみたいで、なかなか口を使ってくれない。でもハタキはそろそろ。大潮に関係なく突然釣れ出す感じですね」。