辛口セルジオ越後氏褒めた、最終予選MVP吉田麻也

日本対サウジアラビア 後半、オスマン(左)と競り合う吉田(撮影・河野匠)

<W杯アジア最終予選:サウジアラビア1-0日本>◇B組◇6日◇サウジアラビア・ジッタ

 日本(FIFAランク44位)は敵地でサウジアラビア(同59位)に0-1で敗れ、通算6勝2分け2敗の勝ち点20で予選を終えた。既にB組1位で6大会連続6度目の本大会出場を決めていたが、無得点での黒星はハリルホジッチ監督就任以降初めて。気温30度を超える完全アウェーの戦いの中、後半18分に先制され、追いつけなかった。「辛口ジャッジ」でおなじみの日刊スポーツ評論家セルジオ越後氏は、2次予選から全18試合にフル出場したDF吉田麻也(29=サウサンプトン)をMVPとした。

 今回の予選を通じてのMVPは吉田だ。2次予選から全試合フル出場し、ゴールも決めた(計4得点)。コンディションが整っていた。サウジアラビア戦後のテレビインタビューで今後についてこう言った。「大切なのは自分のチーム(サウサンプトン)に戻ってしっかり試合に出ること。しっかりコンディションを整えて、チームでも代表でもいいパフォーマンスを出せるように」。これはハリルホジッチ監督が言わなきゃいけない言葉なんだ。それを吉田が言った。代表では選手強化はできない。選手は所属クラブで成長する。

 サウジアラビア戦について、選手はW杯本番へのアピールの場と思っていたようだが、アピールできた選手は1人もいなかった。日本は失うものはないから、攻めなきゃいけないのに、チャンスはセットプレーだけ。結局、日本は日替わりヒーローなんだ。原口、久保、浅野、井手口…。オーストラリア戦で活躍した浅野や井手口もこの日は出来が悪かった。コンスタントにプレーし、得点できる本物の「軸になる選手」が不在。メッシやロナルドとまでは言わないが、チームの「ナンバーワン」がいない。

 吉田、長友、酒井宏はコンスタントにプレーしているが、彼らを脅かす控えがいないことも事実で、それはそれで問題だ。彼らも人間で、所属クラブで不本意な故障をする可能性だってあるのだから。(日刊スポーツ評論家)

 ◆セルジオ越後(せるじお・えちご) 72歳。Jリーグ開幕やW杯米国大会アジア予選を控えて日本のサッカー熱が高まった93年4月、日刊スポーツ評論家に。以来、明快な解説と熱い提言を続ける。サンパウロ生まれの日系2世で18歳で名門コリンチャンスとプロ契約し、ブラジル代表候補に。72年に来日しJ2湘南の前身の藤和不動産でプレーした。