本田右FW限界か「中盤の方が良さ」配置転換を希望

サウジアラビアに敗れ、声援に応える本田(撮影・河野匠)

<W杯アジア最終予選:サウジアラビア1-0日本>◇B組◇6日◇サウジアラビア・ジッタ

 FW本田圭佑(31)が窮地に立たされた。サウジアラビア戦に右FWで先発も、前半45分間だけの出場でシュート0本。日本は6勝2分け2敗のB組1位で全日程を終えたが、本田は来年6月14日開幕のロシア大会のメンバーから落選してもおかしくない状態。生き残りへトップ下への配置転換を志願した。

 このままではロシアに行けないかもしれない-。モスクワの真南に位置するジッダ。そこで本田が前半だけでスパイクを脱いだ。相手に寄せられ簡単にボールを失う。球離れが遅く周囲と合わない。「全然ダメですね。何を言っても言い訳になる。ダメという結果しか残らなかった」。体が重い。珍しく弱気になった。

 午後8時30分の開始時点で気温35度、湿度80%。今予選で最も過酷な環境下、主将マークを巻いて最終予選2試合ぶりの先発を果たした。ところが、運動量が必要な右FWで埋没。31歳の自身から定位置を奪いつつある22歳浅野、23歳久保と比べて動きは鈍かった。

 「あらかじめ説明を受けていた」(本田)という45分一本勝負。右ふくらはぎ肉離れで、メキシコで2試合の途中出場しか準備できなかった本田を憂慮したハリルホジッチ監督の“温情”だった。消化試合とはいえ、最終予選では異例の厚遇だったが、早すぎる消耗と試合勘の欠如を露呈。「いろいろなものを取り戻さないといけない」と本田には現状把握の機会となったが、このままなら徐々に与えられる時間は減り、ロシアへの道は狭まっていく。

 昨年9月の初戦UAE戦から1年間もゴールから遠ざかる。その間に若手が台頭。快足の浅野らと比べ、右FWに限界を感じているのだろう。試合後の取材エリア。公の場で明確に配置転換の希望を口にした。

 本田 自分の特長を考えた時には当然、中盤の方が一番の良さが出ると思っている。それには、いいプレーをしないと使ってもらえない。監督にも話すところ話していくけど(クラブで)まずは真ん中で試合に出続けることが重要かなと。

 もう生存競争に対する危機感を隠せない。「どうロシアに向かうべきか1回、振り出しに戻して考えたい」とチーム論を語った後も「自分も含めて?」と聞かれ「はい」と認めた。集大成と位置付けるW杯まで9カ月。メキシコから西回りの日本、中東で試合し、パリ経由で再びメキシコへ。地球1周の機上で、本田は何を思うのか。【木下淳】

 ◆ハリルホジッチ監督の話 本田がトップコンディションではないことも、出場時間が短くゲーム勘が欠けていることも分かっていたが、45分間の前提で使った。現在、彼はゲーム勘の面でトップレベルにない。今後もトレーニングして、しっかり取り戻してもらいたい。