代表復帰宇佐美、原口と独2部首位の攻撃力見せる

日本代表に選ばれたデュッセルドルフFW原口(左)とFW宇佐美(撮影・木下淳)

 ドイツ2部で首位を走るデュッセルドルフのFW宇佐美貴史(25)が、9カ月ぶりに復帰した日本代表への思いを語った。11日デュイスブルク戦まで4戦連発。今年1月に1歳上のFW原口元気(26)が加入した相乗効果で完全復活した。原口も脳振とうから立ち直り、出場試合5戦5勝とチームに貢献。好調の日本人コンビが19日からの代表ベルギー遠征で、そろい踏みする。

 宇佐美が代表に帰ってきた。メンバー発表前、最後の試合となった11日デュイスブルク戦で後半43分に右足でGK股抜き弾。そこまでの4試合、4戦連発に2アシスト。チームの総得点8点のうち1人で6点に絡んでいる。昨年6月以来の返り咲きを果たすと、日の丸への思いがあふれ出た。

 宇佐美 代表は、離れれば離れるほど行きたくなる場所。ブランクが空いて「元日本代表」の肩書にされると悔しさも出てくるし、常に行きたい、戻りたいと意識していた場所でした。

 かつてハリルホジッチ監督の秘蔵っ子として、15年3月の就任から13試合連続で起用された唯一の存在。しかし、昨季所属したアウクスブルクでの出場減により、代表から遠ざかる。昨年5月の海外組合宿にFW乾のバックアップで追加招集されたが「使われる気配はなく(翌6月のワールドカップ(W杯)最終予選アウェー)イラク戦も行けなかった。悔しかったですね」。同8月に2部のデュッセルドルフ移籍。「W杯に出るためと言っていいくらい」の決断だった。

 前半戦は適応に苦しんだが、後半戦、特に原口加入後は力が解き放たれた。「元気君に刺激を受けて、切磋琢磨(せっさたくま)できている毎日」。クラブでは原口が左で宇佐美が右。マークが分散する上、明るい2人がそろったことで仲間との距離も一気に縮まった。2月23日レーゲンスブルク戦で約1年ぶりのフル出場。本調子なら、代表のレギュラー原口ですら「僕にはない」とうなるフィニッシュの精度が宇佐美にはある。必然の活躍だった。

 原口も、今月4日のザンクトパウリ戦で脳振とうの離脱から復帰。まだ完調ではないながらも、出場した5試合を全勝に導いた。移籍志願で出場機会を失っていたヘルタからの移籍に成功し、W杯イヤーに入って調子を上げる2人。ハリルホジッチ監督から「干された時期もあったが、伸びている」と評価されている。

 ドイツ2部の首位に立つ原動力の両翼が、そのまま代表へ。同じ左での招集だが、期待は膨らむ。「今回は貴史と2人で行けるんで楽しみ」と原口が言えば、宇佐美も「代表でも同じ関係で」と自信をみなぎらせた。「犬猿の仲」と心配されたこともあるが、笑い飛ばす。「仏頂面なだけでしょ」(宇佐美)「俺たち損してるよね」(原口)。公私とも過去最高の関係にあるコンビが、そのまま代表に良質の連係を持ち込む。【木下淳】