湘南曹監督、敵地で開幕星「自信になる」/一問一答

水戸戦後、会見した湘南の曹貴裁監督(撮影・村上幸将)

<明治安田生命J2:水戸0-1湘南>◇第1節◇26日◇Ksスタ

 湘南ベルマーレの曹貴裁監督(48)が試合後、会見を行った。曹監督は冒頭で、12年から監督を務めてきた中で、J2の開幕戦をアウェーで戦ったのは初めてだと明かした。主な内容は、以下の通り。

 J2のアウェーの開幕というのは、僕が監督になって初めてだったんですけども、湘南の地からこれだけたくさんのグリーンのサポーターに来てもらって、虎の子の1点を…最少得点で勝ち点3を得たような試合になりましたけど、彼らのJ2に降格しても諦めないという気持ちも伝わってきましたし、彼らのためにも勝ち点3を届けたいなと思った。結果的には、思いがかなって良かったと思います。

 前半から非常に流動性もあり、アグレッシブさもあり、今年の湘南、またやるぞ、という気持ちでゲームを進められたんですけども、なんであんなにゴールが入らないのか…。皆さんに再確認しようと思っていますけど、本当に決定的なチャンスを何回も作った中で、ポストに嫌われ…そういうのを繰り返すと、とかく嫌な展開に持ち込まれるんですけども、よく後ろも我慢してやったと思いますし、ああいう中でセットプレーで得点が生まれ、最後に押し込まれて苦しい展開になりましたけど、選手はおおむね良くやったと思います。 

 ただ、1-0になった後に…今(選手たちに)言ってきたのは、あれだけファーストにボールにいかなくなって、ゴール前で跳ね返そうとしちゃうと、J1だと確実に失点してるよ、と。「去年、落ちたし、開幕、勝ちたいという気持ちで多少、そうなるのは気持ちは分かるけど、俺はあれは良くないと思う」と、はっきり言いました。選手も、そのことは分かっていると思うし。今日スタメンで出た選手は(同じJ2で開幕を迎えた)14年からすると(GK秋元)陽太と俊(MF菊地俊介)以外は全て変わっています。その中で初めて勝利を得たのは、選手にも自信にしてほしいですけど、僕は皆さん(メディア)と立場が違う監督なので、チームとしていいこと、悪いことは整理して今後も向かいたいと思います。

 2年目で初めてDFというポジションで出た山根(視来)と新人の杉岡大暉は、非常に我々らしい選手としてピッチで90分、自信を持ってやってくれたと思いますし、それに続く選手が、また馬入(練習場)で残っているメンバーを含め、出てきてもらいたいなとも思う。彼らをデビューさせるのは、少し早過ぎるタイミングかな、というのも少しありましたけど、もし失敗しても、立ち上がって来られるメンタリティを持っているのは分かっていたので思い切って使ったことが良かったかなと思います。

 あと、新人で1人来ていないDF石原広教は今日、誕生日らしいんで…。まぁ、誕生日にチームは勝ったけれど、自分はメンバーに入っていないということを、強くかみしめてほしいと思います。

 -難しい開幕戦で結果出した

 謙虚に0からのスタートということをやっていたので、結果はチームにとって自信になると思います。言い方として「そういう展開でも勝ち点3取って大きいよ」と言ってあげても良かったんだけど…過去から学んでいかないといけない、勝ち方を覚えていかないといけないチームなので、あえて厳しいことを言いました。勝って反省できるのは、1番いいことかも知れないし、次に向かういい材料が出来たと思います。

 -後半20分にFW山田直輝に代えて投入した下田北斗が、わずか1分後に右CKからMF菊地俊介の決勝弾をアシストした。采配が的中したが、狙いは

 斎藤誠一GKコーチが「このタイミングで替えたらどうですか?」と言ってくれた。ちょうどいいタイミングでFKがあったので。北斗はプレシーズンでも決めていますし、ずっと調子が良かったので、CKを取っていい形で貢献してくれた。まだまだあいつも出来ると思うので、満足せずやってほしい。あいつはチームで1番、シュートやキックでいいものを持っている。努力すれば、いいことはあるのかなと、自分でもちょっとビックリしました。(斎藤コーチとは)ベンチワークも長くやっているから、瞬間、瞬間でいろいろなアドバイスをもらえるのは、僕もありがたい。

 -去年、大けがをしたMF菊地俊介がゴールを決めた意味

 「ダブルボランチが10点取らないと、上には行けないよ」という話をしているので、その1点目を俊介が取ったのは良かったと思いますし、前半もいいFKでポストに当たったシュートもありましたし。あいつは今年、本当にプレシーズンから得点への意識は例年より上がっていて、責任感とか目に見えて結果を出さなければいけないところに向き合ってやっているのはよく分かっているので。そこに続く選手とか、彼を脅かす選手が、どんどん出てきて…馬入に残っている選手にも、まだまだ俺やってやるぞ、という気持ちでやっている選手もたくさんいる。また来週、悩んで同じメンバーでいくのか、違うメンバーでいくのかを考えてやっていきたい。

 -計算できる手応えは

 やっぱり、前に出ることです。迷ったら前に…というか、ゴールに向かっていくプレー。僕は監督として12年、14年にJ2の開幕戦をやりましたけど。なぜか開幕、負けていないんですけど、その2試合と比べても、今日はそういうエネルギーがあった。得点を取った後は喜べないところはありましたけど。相手の嫌なことをすることで、自分たちが楽しくなるのが、サッカー選手にとって1番大事だと思うし、自分たちでボールを回して喜んでも、相手にとって嫌じゃなければ何の意味もないし、危険なプレーはたくさんでて良かった部分はありますけど、それを続けていくだけです。

 -水戸相手にどういう準備した?

 僕は(DF)4枚でくると思ったけれど、3バックに変えているのを含めて、ガヤちゃん(水戸の西ケ谷隆之監督)も、いろいろ隠しながらやっていたんだなと驚きましたし。そういったことに右往左往しなくないのは、スペイン合宿で何も分からないチームとやってきたので、選手も慌てなかったし、あまり心配はしていなかった。逆に言ったら、自分たちの良さが出ないのが心配だっただけで。最初のスピード感の違いみたいなものは、選手もあそこで点を取っていけるようにならなきゃいけないと思うんですけど、それで上回れたんだと思います。

 会見の中で、平塚市の馬入練習場に残った選手たち…特に誕生日ながらメンバー落ちした新人のDF石原の名を挙げ、奮起を促す曹監督の、厳しくも優しい親父のような心に、居残り組がどう答えるか…。3月4日のザスパクサツ群馬とのホーム開幕戦が、最初の“試験”の場になる。【村上幸将】