東京開幕連勝も、大久保怒声「ボール出てこない」

後半、チーム2点目のゴールを決めたMF中島(左から3人目)は祝福を受ける(撮影・小沢裕)

<明治安田生命J1:東京2-0大宮>◇第2節◇4日◇味スタ

 FC東京が大宮アルディージャに2-0で勝ち、13年以来4年ぶりの開幕2連勝を飾った。0-0の後半に日本代表DF森重真人(29)らが得点し、ホームで5連敗中だった難敵を振り切った。大型補強の一方で連係に課題を残す内容だったが、昨季年間9位の勝負弱いチームが変わりつつある。

 今年の東京は勝負強いかもしれない。両チーム無得点で迎えた後半21分、左のショートCKから森重主将が右足でミドル弾を決め、ロスタイム1分にはFW大久保嘉のループシュートのこぼれ球にMF中島が詰めた。守っては17年ぶりの開幕2戦連続完封勝利。好機を逃さず勝ち点3を拾い、4年ぶりの開幕連勝を届けた。

 最高のスタート…と胸を張りたいところだが、勝者は複雑だった。森重が「明らかに良くなかった」と認めれば、後半45分すぎに1本だけシュートを放った大久保嘉も「ボールが出てこない。まずは打ちたい」と怒声を飛ばす展開。シュート数は5本対8本と上回られた。味スタ大宮戦は5年連続「0-1」負け。特に主導権を握られた前半は悪夢の再現が頭をよぎった。

 それでも勝った。もともと守備は計算できる。日本代表の森重、丸山、太田にリオ五輪代表の室屋が固める4バック。そこに代表候補GK林が加わり、後半32分の相手CKではビッグセーブでチームを救った。半面、大型補強で昨季開幕戦から8ポジションが入れ替わっている。「攻撃はゼロに等しい」と大久保嘉がぶった切るレベルの連係。だが「ミスしても『OK』で終わっていたチームが、高いレベルを求める嘉人さんの加入で厳しくなった」(MF河野)。エース不発でも、物足りなくても勝つ集団に変わろうとしている。

 開幕前には前田、石川の35歳コンビの“おごり”で決起集会を開いたが、まだ意思疎通が足りないと月1回開催プランも出るほど。その状態で6年ぶりに本拠で大宮に勝ち、開幕鹿島戦の10年ぶり敵地勝利に続いて鬼門を連破した。都民とともに、伸びしろに期待する小池百合子都知事からは青赤のユニホーム姿で激励された。背番号は「1st」。都民ファーストを意味するが、1位への願いもある。森重は「まだ弱い。1年間かけて東京のイメージを覆したい」。暫定首位は逃したが、初のリーグ制覇へ、おぼろげながらも今年の首都クラブはどこか違うと印象づけた。【木下淳】

 ▼東京の開幕2連勝 J1では13年の2連勝(2-1、3-0)以来、クラブ4年ぶり5度目。今季は1-0、2-0と2試合連続無失点。05年に4-0、0-0と引き分けを含めて2試合連続無失点はあったが、今回のように開幕2試合連続完封勝ちは、昇格1年目の00年(1-0、2-0)以来、17年ぶり2度目。