元日本代表監督で、日本協会の岡田武史副会長(60)がオーナーを務めるFC今治のJFL初陣は引き分けだった。

 昨季の第1ステージ王者の流通経大ドラゴンズ龍ケ崎と敵地で対戦。前半9分にいきなり先制されて0-1でハーフタイムを迎えたが、後半17分にMF金子雄祐(23)が右足でミドルシュートを決めて同点。同30分には鮮やかな連係から、オーバーラップした左サイドバックの中野圭(29)が右足でゴール右上を射抜いた。この勢いで初陣1勝を挙げるかと思われたが、わずか6分後にカウンターから失点。初参戦のJFLは勝ち点1からのスタートとなった。

 四国リーグからの昇格元年。全国リーグ初勝利は12日のホーム開幕戦(対ホンダFC、愛媛・西条市ひうち陸上競技場)にお預けとなったが、岡田氏は「内容自体はまあまあだったし、JFLのチームが必死に立ち向かってくればどうなるか。まずは分かってくれれば」と冷静に振り返った。

 吉武博文監督(56)は「初めての全国リーグということで、2-1とリードしてからは大人のサッカーを見せたかった。勝ち点1で半分は達成したけど、追いつかれて残念」と反省。愛媛での初戦となる次節の相手ホンダFCは、昨季の第2ステージとチャンピオンシップを制しており「次は前回優勝チーム。しっかり修正して楽しみに迎えたい」と気持ちを切り替えた。

 FC今治のJFL初得点を決めた金子は「すぐ失点して浮足立っていたので、1号というよりは、まずは追いつこうと思っていた。ただ、自分たちのようにボールを持つチームが、リードした後に追いつかれてしまうのは絶対にダメ。これから吉武監督に、すごく怒られそう」と苦笑いした。

 一時勝ち越しのゴールを決めた中野も「長い距離を走る持ち味を生かして練習通りの得点は決められたけど、勝ち切れた試合だった。もったいない。リーグのレベルが上がれば『これくらいで大丈夫だろ』という気持ちでは通用しない。いい教訓になった。次は勝たないと」。愛媛・今治からレンタカーで半日かけて応援に来たサポーターズクラブのためにも、目標とする最短1年でのJ3昇格へ、決意を新たにした。【木下淳】