「玄人好み」原輝綺 オンリーワンの仕事師/連載

15日のホンジュラス戦で指示を出す原

<U20W杯20日開幕 2020東京の原石(3)>

 「玄人好み」。ボランチのMF原輝綺(18=アルビレックス新潟)が目指す選手像だ。的確な状況判断でチャンスの起点になり、ピンチの芽を摘む。「僕は『あいつがいたから助かった』と言われるタイプになりたい」。派手ではないが、チームに不可欠な存在を理想に掲げる。

 自分のスタイルに気付いたのは千葉・市船橋高入学直後。3ランクに分けられたチームの一番下からのスタートだった。同期はJリーグ下部組織育ちの杉岡大暉(湘南)や高宇洋(G大阪)ら約30人。「多分、自分が一番下手だった」。ショックを受けたが、朝岡隆蔵監督(40)の言葉にハッとした。「自分がしたいことばかりを考えるのではない。相手をしっかり見て臨機応変にやれ」。原は小学2年でサッカーを始め、中学まで「思うがまま、楽しんでやってきた」。初めて壁に当たりそうになった時、恩師の言葉で己の気持ちが改まった。

 自分ではなく、周囲を生かす。その場面で何ができるかを考える。相手の体勢や足首の向きなどを見て次のプレーを予測する。練習から意識することで自信が深まった。2年で全国高校総体準優勝、3年で優勝。強豪のレギュラーの座をものにした。能力を開花させて昨年U-19日本代表で初めて日の丸を背負うと、そのまま代表に定着した。

 「点は取ってくれる人が取ればいい。そこにつながる中で自分の役目を果たす」。仕事師として、オンリーワンになることがチームへの貢献と考えている。【斎藤慎一郎】

 ◆原輝綺(はら・てるき)1998年(平10)7月30日生まれ、埼玉県出身。金子小2年の時にAZ’86東京青梅でサッカーを始める。市船橋高3年の16年8月のSBS杯でU-19日本代表に初招集。U-19アジア選手権では5試合1得点で優勝に貢献。今季加入した新潟ではリーグ戦10試合1得点。家族は両親と弟。178センチ、70キロ。