仙台佐々木が徳島期限付き移籍「大きくなって帰る」

5月3日のルヴァン杯大宮戦で先制弾を決めた佐々木匠

 ベガルタ仙台は6日、MF佐々木匠(19)がJ2徳島ヴォルティスへ育成型期限付き移籍すると発表した。期間は来年1月末まで。追加登録期限の15日が迫る中、残り13試合で激しい昇格争いを繰り広げる徳島から、駆け込みオファーが先月末に届いた模様だ。仙台出身で下部組織からベガルタ一筋だった佐々木は、自らの成長と徳島の昇格を助けるため、移籍を決断した。

 佐々木はわずかな時間で、人生と向き合った。「決まったのは一昨日(4日)。短い時間でしたが、自分でしっかりと考えた」。今季のルヴァン杯では、3位タイの3得点と1次リーグ突破に貢献。23歳以下の選手が対象のニューヒーロー賞の有力候補だった。仙台で活躍後に海外移籍する人生プランを描いていたが、自身国内クラブ初オファーを受け入れた。

 正式オファーが届いたのは、8月30日の同杯準々決勝第1戦鹿島戦後。徳島は現在5位と、3~6位が参加するJ1昇格プレーオフ圏内にいる。2位福岡と勝ち点6差で、2位以上の自動昇格の可能性もある。だが、中盤の要のMFカルリーニョスが8月20日山口戦で負傷、左太もも肉離れで全治約6週間と診断されて離脱した。以降、プレーオフを争う山形、松本と戦い1分け1敗。補強は必至だった。

 出場機会が決め手ではない。4年ぶりのJ1昇格を目標に掲げるクラブから「力になって欲しい」と言われた。渡辺晋監督(43)は「徳島のために戦え、死ぬ気でやれ」と佐々木を鼓舞した。「僕が徳島の監督だったら、J1から来てくれた選手には大きな大きな活躍をしてもらいたい。経験のためというのは徳島さんに失礼だ」。

 佐々木も「全力を出して、チームの力になりたい。新しいチームでレギュラー争いをして、自分を高められると思った。挑戦になる」と話した。徳島から仙台に最高の報告を届ける。【秋吉裕介】

<佐々木匠一問一答>

 -サポーターに一言

 佐々木 このタイミングで離れるのは申し訳ないが、自分の成長がベガルタのためになると思う。もっと大きくなって帰ってきたい。

 -誰かに相談したか

 佐々木 時間がなく、周りにも言わずに自分で考えました。

 -徳島のイメージ

 佐々木 徳島のサッカーに魅力を感じた。中盤の4枚がボールを保持して、崩していく。面白いサッカーをしている。プレースタイルに合っていると思う。

 -仙台に向けて

 佐々木 チームとしてルヴァン杯ベスト4にいけたし、リーグ戦もまだ行けると思う。大好きなチームだし、しっかりと応援したい。

 ◆佐々木匠(ささき・たくみ)1998年(平10)3月30日、仙台市生まれ。下部組織を経て、16年トップに昇格。13年からU-15(15歳以下)日本代表に選出され、年代別代表に名を連ねてきた。利き足は右。166センチ、59キロ。