札幌竹林強化部長 本州での経験を故郷に還元する

意気込みを語る札幌の竹林強化部長(撮影・西塚祐司)

 北海道コンサドーレ札幌は今季から強化部長の職を復活させ、室蘭市出身で前名古屋強化担当の竹林京介氏(42)が就任した。強化面を向上させてJ1定着を目指したいクラブは、前職でリーグ優勝経験のある道産子の手腕に期待を寄せている。竹林強化部長に地元での新たな挑戦について思いを聞いた。

 6シーズンぶりに強化部長職が復活した。前任の三上大勝GM(46)が13年から現職を務め、不在だった。同GMと鈴木智樹スカウト(32)が中心だった強化部に新戦力として加わる。

 竹林氏 北海道出身ということで野々村(芳和)社長、三上さんとずっと親しくさせてもらっていて、いずれは北海道に帰って来て還元するのもいいんじゃないのと言ってもらっていた。京都で9年スカウトと強化をやって、名古屋ではほとんど強化担当。本州でやってきたことを地元で還元するという思いはめちゃめちゃあります。僕が入って今までと変わらずじゃ、期待に応えたことにならない。

 京都、名古屋での豊富な経験を生かす。

 竹林氏 京都のスカウト時代、年間何試合見たのかってくらい見た。24歳からスカウトをやらせてもらって、当時一番若いスカウトだった。いろいろなところへ行かせてもらった。海外も含めて。他クラブのスカウト、ひと回り以上離れた先輩たちが優しくしてくれた。かわいがってもらいながら選手やサッカーの見方を教わった。外に出る機会が多く、人脈は作らせてもらったので、それをこのチームでうまく活用できたら。その部分も期待してくれてると思うので。

 頂点を知る男だ。名古屋では10年にJ1優勝を経験した。J1定着を目指す札幌は、今季からミハイロ・ペトロビッチ監督(60)が就任し、新たなスタートを切った。そんなチームと古巣を重ねて見ている。

 竹林氏 チームが1つの方向に向かって上り詰めていくのを見てきた。このクラブもすごく同じような雰囲気を感じてる。ミシャさんが来て新しいサッカーを取り入れていくという点では、名古屋にピクシー(ストイコビッチ元監督)が来た時の雰囲気と似ている。ここから強くなっていくなというのは本当に感じている。

 沖縄キャンプでは、毎日選手の練習に熱視線を送る姿があった。

 竹林氏 自分のところの選手を把握しないと外に目を向けられないので。なかなか同行ってないみたいだけど、時間をもらった。ミシャさんのサッカーは賢くなきゃいけないし、走り勝たなきゃいけないというところを含めて、そういう選手の発掘、選手のサポートをうまくできればいい。

 近年、クラブはレベルが高まる東南アジアを開拓し、ベトナム、タイから積極的に選手を獲得し、リーグでも先駆けとなっている。多角的な視点を持つチームの今後の強化方針とは。

 竹林氏 チャナティップはすごくいい選手。先に動いていたのは、素晴らしいこと。それでもまずは北海道内ですね。まずはアカデミーでしょうけど、今まで見てきた関東、関西も。札幌のアカデミーは全国的にもしっかりやれているし、自信を持っていいクラブだと思っている。リスペクトしながら、外に目を向けるやり方がいい。【取材・構成=保坂果那】

 ◆竹林京介(たけばやし・きょうすけ)1975年(昭50)8月25日、室蘭市生まれ。室蘭桜ケ丘小2年から桜ケ丘サッカー少年団でサッカーを始める。室蘭港南中-室蘭大谷高(現北海道大谷室蘭高)-国士舘大。ポジションは主にMF。96年から横浜Fでマネジャー、98年から京都でチーフスカウト兼強化担当、08年から名古屋で強化担当を歴任した。