亡き友の分まで、モンゴルで走る-。元札幌U-18のMF浜下賢(22)が、モンゴルリーグ1部で2連覇中の強豪エルチムと自身初のプロ契約を交わした。2月1日に日本を出発、チーム練習に合流する。同7日のAFCカッププレーオフ、4月開幕のリーグ戦出場、将来の日本代表を夢見て、海を渡る。
高校卒業後、浜下はアルゼンチン、スペイン、米国と海外を渡り歩いた。昨季までの1年半は千葉のアマチームでプレー。プロ契約の機会を待ち、モンゴルにたどりついた。リーグ開幕は4月だが、現地入りから1週間でアピールできれば、2月7日の国際大会AFCカッププレーオフ出場の可能性もある。「正確なロングキックとミドルシュートでアピールして早く試合に出たい。(ゲームメーカーのつける)背番号10がほしいですね」と、渡蒙、即プロデビューをもくろむ。
札幌U-18時代にはMF深井一希(21)らと同期。Jユースカップで道内高校世代では初の全国優勝を達成、6人が一気にトップチームに昇格したが、声はかからなかった。当時の四方田修平監督(43)から「何でもできるが、足が速いなどの特徴が少ない」と漏れた理由を聞いた。「それなら“何でもできる”を極めてやろうと思った」。サッカースタイルの違う国に留学、さまざまな戦術に合わせ、自分を高めた。
米国留学中に、親友の葛野周さん(享年20)ががんで倒れた。「余命3日」と聞いて帰国したが、みとれなかった。一時は「サッカーをやめよう」と思うほど落ち込んだが「海外に行く時に『次に会うのはプロ契約した時だな』と言ってくれた言葉を思い出した」。この冬、プロサッカー選手MF伊藤壇(41=東ティモール・ポンタレステ)がタイで運営するチャレンジャスアジアの紹介でエルチムに履歴書を送付すると、契約書が送られてきた。
「W杯の稲本(潤一=37、札幌)さんに憧れてサッカーを始めました。5年後には稲本さんのように日本代表のユニホームを着て、ボランチで戦いたい。亡き友のため、女手ひとつで育ててくれた母のためにも、成功して戻ってきます」。まずはモンゴル平原を制圧し、浜下の名前を知らしめる。【中島洋尚】
◆浜下賢(はました・けん)1994年(平6)9月21日、札幌市生まれ。札幌稲積小2年の時に手稲鉄北少年団でサッカーを始める。小6の時に南線キッカーズで全道3位、全道フットサル優勝。札幌稲積中2年で道選抜、ナショナルトレセン選出。同3年時はアンフィニMAKIで高円宮杯出場。札幌U-18では高3でJユース杯優勝。アルゼンチン、スペイン、米国留学を経験後、14年からVONDS市原所属。位置はボランチ。家族は母と姉。174センチ、68キロ。