衝撃弾デビューの本田「下馬評覆す」豪戦へ危機感

パチューカ対ベラクルス 後半27分、パチューカFW本田は左足ミドルシュートで移籍後初ゴールを決める(撮影・PIKO)

<メキシコリーグ:パチューカ4-1ベラクルス>◇22日◇パチューカ

 パチューカの日本代表FW本田圭佑(31)が待望のメキシコデビューを自身のゴールで祝った。ホームのベラクルス戦で加入後初めてベンチ入りし後半12分に途中出場。トップ下に入り、同27分に左足で約30メートルの鮮やかなミドルシュートを決めた。チームも4-1でリーグ3連勝。右太もも肉離れで約1カ月も大きく出遅れたが、今日24日のW杯アジア最終予選の日本代表メンバー発表前日にビシッと結果を出し、新天地で衝撃的スタートを切った。

 メキシコよ、初めまして。いや、お待たせしました-。パチューカの本田がけがで1カ月も遅れたデビュー戦で、1発回答した。後半27分に左足で約30メートル先の対角線上、右サイドネットに蹴り込んだ。舌を出し、両手で背中の背番号「02」を誇った。「ファーストステップとしては結果も残せた。冷静に受け止めたい」。注目度の高さから設定された一選手としては異例の会見ではこう言ったが、ゴール直後のテンションはアゲアゲだった。

 後半12分にピッチへ。日の丸も揺れ、多くのサポーターに大歓声で迎えられた。直後の決定機、ヘディングシュートは外したがこれでめげない。悲観せずいつも前向きに-。けが人が出て10人と数的不利になった状況を逆手に取り、カウンターからガツンと決めた。

 期待されながら、けがで出遅れた。回復に手間取り、実戦は6月の日本代表のイラク戦以来71日ぶりだった。昨季はACミランでもずっと控え。代表でも定位置を失った。精神的に強く、たくましいように映るが、実際はそうでもない。「僕は毎日妥協しています」とも言う。ただ、試合で表現する場がなくなっても、めげずにいられた理由がある。それは、自分に問いかけ続けることだった。

 ミランでは同僚のFWバッカ(現ビリャレアル)と、練習で顔を合わせるたび「俺はポジティブ(前向き)だ」「いや、俺の方がポジティブだ」と大まじめに競い合い、前だけを見てやり続けた。メキシコでも生活をともにする専属分析官や個人アシスタントの「チーム本田」3人で、後ろを振り返らず進み、ようやくスタートを切った。

 招集確実な日本代表は31日オーストラリアとの大一番が待つ。今なお頼れる存在であることを証明した男は「危機感はある。人より危機感は持っているつもり。そんなに楽観視もしていない。オーストラリアの方が若干、下馬評的に立場は上かなというところ。それを覆して、勝利をおさめたいなと思います」とメキシコから、声を上げた。

 ◆初戦に強い本田 デビュー戦で得点を決めた本田は比較的初戦に強い。10年W杯南アフリカ大会1次リーグのカメルーン戦での得点はW杯初戦だった。31日に大一番を迎えるW杯アジア最終予選も、昨年9月のUAEとの初戦で得点している。ACミランでの初得点は公式戦2試合目、移籍後初先発したイタリア杯スペツィア戦だった。