エイバルの日本代表ＭＦ乾貴士（２９）が欧州王者Ｒマドリードを相手にフル出場し、チーム最多３本のシュートを放ったが、ゴールを奪うことはできなかった。

　チャルレスと２トップを組んだ乾。前半だけで３つのファールをもらうなど左サイドを中心に体を張り、早いタッチでボールを離し、前線でリズムを生み出そうとはしていた。

　エリア付近では積極的に仕掛けてゴール前へ侵入した。後半、よりボールが回るようになるとミドルレンジからシュートを放つシーンもあったが、ボールは枠を捉えなかった。

　後半１０分にはエリア内でＤＦカゼミーロと接触プレーで倒れるが笛は吹かれず。ロスタイムには昨シーズン、初ゴールを決めたビジャレアル戦のようにパスカットから駆け上がりシュートを放つもののＧＫカシージャのブロックの前にゴールとならなかった。

　結果として完敗に終わった試合だったが、乾はチーム最多の３本のシュートを放っており、賞賛や高評価とまではいかないものの日本で慣れ親しんでていたポジションでも十分に戦えるところを見せた。

　試合はＲマドリードが前半１８分にオウンゴールで先制し、同２８分にＭＦアセンシオ、後半３８分にＤＦマルセロが加点し、快勝した。注目のＦＷクリスティアノ・ロナルドは無得点だった。

　エイバルは勝ち点７で暫定１６位、Ｒマドリードは勝ち点２０で３位。乾との一問一答は次の通り。

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－最初から飛ばしていた？

　乾　９０分出ると思ってなかったので、最初から飛ばそうと思っていた。セルジとキケがいたので、６０分くらいで交代、下手したら半分で交代かと思っていた。次のリーグ戦もあるので、休憩も兼ねて二人を休めたのかなと。

－２トップの一角での出場だった？

　乾　守備は縦関係にならないといけないのでそこはしっかり守って、攻撃に関してはどんどんボールを受けに行って、前を向ける時は前を向いて、自分が運べる時は運んで行こうと思っていました。それでチームが押し上げられるならいいことなので。この前のデポルティボ戦を上から見ていて、フリーの状況で後ろを向いたままボールを止めて考えるというシーンが何度もあった。そういうのを見たことで、自分自身前に行かないとチームとして厳しいと思っていた。意識の中でそれはやれたかなと思います。

－よりゴールに近いポジション。手応えは？

　乾　自分としては楽しいですね、そっちの方がいっぱいボールも触れるし、いろんなところに動きながら、相手の嫌なところで受けて前を向くのは自分の特徴だし、小中高とやってきたことなので。プロになってあまりなくなったけど、セレッソ時代もポジションニングは適当だったのでやっていました。ただ海外ではやることなかったので、久しぶりにやれたのは楽しかったけど、自分自身もそこで今のフォーメーションなら挑戦したいし、中盤の一角でもいいし、新しいところで何か挑戦したいという気持ちがある。チャレンジしながら楽しくやれていると思います。

－試合について。２－０までは希望が持てた？

　乾　前半で２点取られたのは厳しかった。あそこでセットプレーで１点取られたのは…。セットプレーの守備はエイバルの今年の課題。あれで流れは向こうに行っちゃうので厳しくなりましたし。どうにかみんなで修正していかないと。同じことが続いているので。もう一度、またやり直しかなと。

－カゼミーロと対峙する場面が多かったが？

　乾　強いですね、やっぱり。守備が上手いですし、体の当て方も上手いですし。俺は体を当てられたら基本的に負けるので、そこをどうかいくぐるかが課題になってくるのかなと。あとは、ＦＷをどう使っていくのか、サイドを使っていくのかというのと、いろんな課題はあるけど、そこの位置に入るなら得点やアシストは重要になってくるので、何かそうやって得点に関わりたいなと思いますね。

－ロスタイムにもシュートを放ったが、やはり得点を狙うことが重要？

　そうですね。そういうことをもっと早い時間帯からやっていきたかったなとは思いますね。

－カゼミーロと接触した場面はＰＫか？

　乾　あれはないっす（笑）。

－こっちのメディアでは、ＰＫだったと言われているが？

　乾　本当ですか？　じゃあそれで（笑）。俺とカゼミーロは笑ってた。まあ、ちょっと当たってましたけど、別に倒れるほどじゃないんで。でも、もらう方がチームとして良いかなと思ったので、ちょっともらいにいきましたけど。審判も後ろにいたので、拭いてくれるかなと思ったんですけどね。前科があるから、しゃあないかなと（笑）。

－そのカゼミーロ（ブラジル代表）と、今度（１１月１０日）代表で当たりますが？

　乾　代表で当たる？　代表に呼ばれることが確定もしてないので、分からないです。

－カゼミーロをはじめ、レアルの個々の力を感じたか？

　乾　そうですね。特に攻撃陣が、去年まではベイル、クリロナ、ハメスと完全に個で崩す感じでやっていて、カウンター主体のサッカーをしていたんですけど、イスコとかアセンシオが入って、やっぱりちょっと違うサッカーになりつつありますし、いろんなことができるようになって攻撃がすごい強いですね。

－試合後のロッカールームの雰囲気は？

　乾　悪くないですよ、全然。

－強豪との対戦がほぼ終わった？

　乾　そうっすね。こっからという言い方もおかしいんですけど、自分たちがやるしかないですし、これだけしか勝ち点が取れなかったのは自分たちの実力だと思うので。でも、この実力は上がっていくものだと思いますし、自分たちが上げていくものなので。チームとしても新しいことにチャレンジしているので、そこを早く理解しながら、みんなで良いサッカーができるように頑張っていきたいなと思います。

－３バックに変えて、やりやすさやタスクの変更は？

　乾　特にないですけど、どこのポジションをやらせてくれるのかという話になってきますね。サイドばっかやっていたので、ＦＷ、トップ下をやらせてもらえるのか、中盤の一角のポジションも自分としては学んでいきたいことですし。でも、そんなことは自分の個人としての考えなので、そこに関しては別にわがままを言えないので、使われるところでしっかりチームのために頑張りたいなと思います。

（山本孔一通信員）