宇佐美V&得点も「良いコースに飛んだ」一問一答

<ドイツ2部リーグ:ニュルンベルク2-3デュッセルドルフ>◇13日◇ニュルンベルク

 各地で最終節が行われ、既に1部復帰を決めていた原口元気と宇佐美貴史のデュッセルドルフは敵地でニュルンベルクに3―2で逆転勝ちし、2部優勝を決めた。フル出場の宇佐美は0―2の前半37分に頭でゴールを挙げた。今季8点目。

<宇佐美コメント>

 -最後、劇的な形で優勝を飾った。試合を振り返ると

 「うーん、まぁ最初少し飲まれたというか、硬さもあったのか…まぁ粘り切れずに、簡単に2失点してしまって。まぁでも2失点したから逆に吹っ切れた…まぁ個人としては吹っ切れて、どっちにしても勝つだけだったんで、まぁ攻めに行くしかないなと思いましたし、まぁそういう中で、チームとして前半に1点取れればな、とは思っていたんで。そうじゃないと後半厳しくなるなと思っていたし、前半1点…または同点にして後半にできればなぁ、とは思っていたんですけど」

 -飲まれたというのは、雰囲気的に?

 「いや、雰囲気ではないと思いますね。まぁ昇格も決めて…今日、みんなタイトルを取りたいと思っていたとは思いますけど、どこかでこう…ゆるく入った部分はあると思うし、昇格が決まってから割とチームも街自体も、少し浮かれているような状況の中、集中を継続する難しさは少しあったんですけど、それが今日の試合の序盤に、完全に出たなと思いますし、ついていくべきところをついていけてなかったり、寄せるところで寄せてなかったり、っていう連続で2失点して、っていう感じだったと思います」

 -最初はトップ下?

 「トップ下です」

 -あのポジションだったから、宇佐美くんの得点が生まれた

 「あ、間違いないですね。ボール捌いて、ボールが回る、その潤滑油というか、そういうきっかけになれればなと思っていたんですけど、いかんせん、初めてに近い感じだったんで、本来なら出してくれるべきところを、ちょっと近くに寄りすぎて出してくれないとかありましたけど、まぁ監督がハーフタイムから、『もっとボール(を宇佐美に出して)、自分(宇佐美)のところを使え』って言ってくれた中で、割とボールも入りやすくなりましたし、それで(途中からは)右サイドに移ったんですけど、(自分の得点は)まぁトップ下やっていたからこその、得点だったかなと思います」

 -前半の内に1点欲しかったと言っていたが、トップ下でプレーしている時から、自分で決めたいと思っていた?

 「まぁあの瞬間、なんか感じたんですよね。あそこ普段は入っていかずに、結構枚数もいたし、ヘニングスとラマンが2人入っていた中で、僕セカンドボールにいようと思っていたんですけど、なんか来る気がして行ったら、ちょうどピンポイントで来たんで。まぁまぁ、点取れる時はそんなもんかなと思いますね。なんとなく来そうだなと思ってふわっと入ったら、いい感じで。後ろから入っていったぶん、マークもいなかったですし、まぁヘディングもなかなか良いコースに飛んで行ってくれたんで」

 -あまりヘディングでゴールのイメージがないが。

 「ないんですけど、あるんですよ、実は(笑)小学校の時とか結構ヘディンガーでしたから。小学校レベルですけど(笑)まぁただCKも蹴る方ですし、クロスも上げるほうですし、なかなか入って行ってピンポイントで合うってことはなかなかない…でもまぁトップ下やとああやって2列目から入っていってヘディングっていう。まぁヘディングでゴールはイメージしていなかったですけど、まぁでもこういう時に、こういう普段出ないようなゴールが出て、チームに勢いがついたかなと思います」

 -後半はバイタルで受けて前を向いて、シュートを打ったり原口君に出したりっていうシーンが増えた

 「そうですね。まぁ自分のところでは完結させようとは全く思っていなかったです。受けて、叩いて、どんどんサイドとか元気くんの方にもどんどんボールが出るようにっていうイメージ…どんどんチームが押し上げられるような。まぁ僕のところで詰まったら結構やばいと思っていたんで、一回簡単なロスから相手のチャンスを招いてしまいましたけど、ただ低いところで受けても、まぁ蹴れるので、ロングボールを。だからこそまぁ受けにいって、で、自分のところについてくれば、一個ギャップができるし、っていうところを使いながら、どんどん自分も前に入っていって、どんどんチームを全体的に前に押し上げるような。ホント、シンプルに叩いて、動いて、受けて、叩いて動いて受けて、で、チャンスがあったらシュートを狙っていくっていうようなイメージで試合に入りましたけど」

 -前の試合にもトップ下をやったから、今日もそのままいこう、みたいな感じだった?

 「そうですね。まぁボールを今も蹴れるという自信があるので。一本のキックで、まぁロングボールとかでもチャンスを作れる自信もありますし、そういうシーンがこの間何本か出たり、真ん中で受けたところでしっかり失わずにボールをつないでとかっていうところで、まぁ自分から決定的なシーンが出ているわけではないですけど、自分のところから始まっている…結果、始まっていたなっていうような今日はゲームになればいいなと思ってたし、右、左に強烈な個を持った選手が入っていたので、自分のところで詰まらせるっていうようりも、そういう選手をシンプルに使いながら、相手のゾーンでボールを回せるようにっていう意識ではありましたけど」

 -改めて、やはり優勝というものは気分がいいもの?

 「もちろんですね。これでひとまず僕らのシーズンは終わりで、監督も優勝して終わろうという話をしてたし。2位で上がるのと、1位で上がるのは、そんなに僕的には違いはないかなと思いますけど、2部のタイトルとはいえ、タイトルであることは間違いないですし、街の人たちも喜んでくれると思うし、なによりクラブもすごく自信を持って、2部でタイトルをとって1部に上がったんだという自信を持って(来季)挑めると思うので、そういったところ、自分自身もチームに与えられた、少しでも貢献できたっていうのは嬉しいです」

 -宇佐美くん自身、前半戦は苦しんだが、後半はブレイク

 「やっぱり良いコンディションでいることがすごく重要かなと思います。自分の体なので、良いコンディションか悪いコンディションかっていう状態が、なかなかわかりづらかったりするんですよね。何年付き合ってたって、今がいい状態だと思っていても良くなかったり、さらに良い状態になった時、あの時やっぱり良くなかったなっていう状態に気づくこともあるし。で、このハーフシーズンは、かなり自分のコンディションはこうだとか、自分の試合に対してのフォーカスというか、まぁルーティーンって言うほど大したもんじゃないですけど、こうやって挑んでいけばだいたいピッタリ合うな、って感じはわかったんで、ドイツでの。それは、しっかりわかったことが、このハーフシーズン(後半戦)に繋がったと思いますし、僕的には最初のハーフシーズンもコンディションは良いと思っていましたけど、なかなか結果も出ないし、練習でのパフォーマンスも上がらない中で、何かを変えていかないと、っていうところを意識して変えたら、やっぱりハーフシーズン全然今のほうが動けるし、体も軽いし、パフォーマンスも上がって結果も出てきたっていうところなので。より強くそういうところにこだわりをもって、普段から生活していかないとなという風には思いました。そこがキッカケかなと思います」

 -徐々に自信を取り戻したシーズン

 「自信もそうですし、試合勘とかもそうですし。最初のほうは、やっぱ出てキツかったですけど、途中くらいから楽しんでやれるようになりましたし、やっぱりボールに触っている時は自分的にもいいプレーができている手応えはあるし、やっぱりどれだけ自分がボールにからんでいけるか、ポジション関係なく。どれだけボールに絡んで、自分のイメージとか、アイデアをチームに落とし込んでいけるかというところのスタイルの確立を、もっとしていかないとなと思います」

 -フンケル監督との出会いは大きかった?

 「粘り強く自分自身に向き合ってくれましたし。一番最初に出会ったと時、『最初のハーフシーズンは俺にとって難しいシーズンになるし、トップフォームにこの最初の6カ月で戻して、後半戦に巻き返し、というイメージをしている』という風に一番最初に言われて。僕はまぁそんなにかからないと思ってましたし、1~2カ月…というかまぁ2~3試合しっかり出してくれればトップ(コンディション)には戻ると思ってましたけど、結果的には彼の言う通りになったと思うし、そういうイメージで自分にも接してくれていたような感じはあったので。まぁ結果、最後しっかりと目標達成できて、すごくうれしいと思います」

 -後半戦で良くなってきたというが、具体的にどういうところを意識して?

 「まぁ食事と、日常生活と…まぁ水分の取り方、食べるもの、飲むものとかもそうですし、過ごし方もそうですし」

 -ちょっと前には、グルテン療法みたいなのも。

 「あ、それはもうしてないです」

 -それとは別

 「そういう先生というか、『臓器にアプローチする』みたいな食事療法があって、食べないものはないです。基本的になんでも食べます。食べるものの質も、別に、もちろん良いものを食べれればいいんですけど、そういうことじゃなくて、食べ方と意識とを変えれば、っていうところで。だいぶ変わりましたけどね」

 -栄養士さんというか、栄養の先生のアドバイス?

 「そう。たまたま出会う機会があって、1時間くらい授業してくださいと言って、1時間くらいパワーポイントみたいなので授業してもらって。言っていることが自分の体に当てはまってたし、これはやるべきだなと思っていろいろ聞きながら。まぁそれは僕のサッカーダイジェストのコラムにたぶん載っているので(笑)ぜひ見てください。話すとめっちゃ長くなるから。バーっと言っちゃうから、俺も。気持ち悪いヤツやと思われちゃうから。コラムで見るくらいがちょうど良いと思います」

 -じゃあ今日はもうビール、浴びてすらない?

 「いや、めっちゃ飲みましたよ。そこはいいんですよ。食べたものをしっかり無駄なく消化吸収するというところで、ストレスなくやることはもちろん大事ですし。例えばご飯を食べる時にお酒を飲まないといけない時とか、お酒は何杯までOKかとか、食べた後にこれは飲むのやめよう、とか。例えばミルク入りのコーヒーとか。まぁ乳製品とかですね。乳製品は基本的にほぼカット…って感じですね」

 -それが逆にストレスになったりは?

 「それが(コンディションが)良くなったり、いいフィーリングになったりすると、それをやめてしまうことが今度ストレスになる…まぁ恐怖心というか危機感が、いい意味でも悪い意味でも常にあるから、怖くなるんすよ。その怖さがストレスになるから。一回やって、それが(体に)良いってなると、そこが怖くてできない(やめることができないん)ですよ。例えば何か食べて調子よかったら、それ食べ続けるし、何か食べて調子よくなくなったら、それ食べるの嫌、となるし。それくらいわかりやすい。まぁアホなんですよ、要するに(笑)」

 -ここから、いよいよW杯(ワールドカップ)が始まる。

 「そうですね、まず、どういうメンバーになるかというところで、そこが発表されないと、僕は何もわからないですし、発表された時に常にトップ(コンディション)でいられるように、今から意識して過ごしたいとは思ってますし。選ばれてしっかりW杯に向かっていけるなら、どんな状況、どんな立ち位置であれ、ホントにチームの力になろうと、少しでもチームの力になれるように頑張ろうと思っているんで。集中の糸は切らさないようにしたいと思ってます」

 -ここでタイトル取れたのは代表での自信にもつながる?

 「どうですかね、タイトル取ったんだという、まぁ2部とはいえホントに嬉しいんでね。元気くんにもさっき聞いたら初タイトルって言っていたんで。まぁやっぱそういう、今シーズンしっかりチームとしても、個人としても、目標達成に貢献できたという気持ちを持って、充実感を持って、チームに与えられる影響というのは、少しあるとは思いますし。なんもなしで10位、11位とかでフワーっといくよりは、優勝決めて精神的にも肉体的にもいい状態で入れるというのは、すごくいいメリットだと思いますし。もちろん(メンバーに)入れればね」

 -来季のことは、さすがにまだ言えない?

 「そうなんですよ、僕もどこにいるか分からないんで(笑)来季どうなんねやろ?と、俺が一番思っているし、俺が一番聞きたいし。もちろんいろんなこと動いていますし、どうなってもいいように動いてますし。ここでは言えないですけど。ただまぁ…(W杯のメンバーに)入っても入らなくても、W杯始まる前くらいには決まればなと思ってます、来季いる場所を」

(鈴木智貴通信員)