サニブラウンのバトン練習で大爆笑、勝利へ1走起用

タイミングが遅れ、桐生(右)からバトンをもらうはずなのに、追い抜かれてしまうサニブラウン(撮影・上田悠太)

 【ロンドン(英国)7月31日=上田悠太】4日(日本時間5日未明)に開幕する陸上の世界選手権の日本男子短距離代表らによる合宿が公開された。400メートルリレーで、日本選手権2冠のサニブラウン・ハキーム(18=東京陸協)は1走での起用が濃厚となった。アンカーとしてバトンを受け取る練習では、周囲の爆笑を誘うほど飛び出しのタイミングが遅れるミス。渡すだけとバトンの負担が少ない1走で、力を出し切るつもりだ。

 サニブラウンは1走か4走か? 練習前、男子短距離の苅部五輪強化コーチは頭を悩ませていた。「決めかねています」。ただ、2時間後、そんな悩みはなくなった。“爆笑珍プレー”が発生したからだ。「見ての通り。難しいですね」と苦笑い。アンカーの選択肢は消えていた。

 バトンを受けるのはサニブラウン。3走が決定的な桐生の「はい」の掛け声が響く。ただ、日本選手権2冠の男が動きだしたのは、予定していたマークから桐生が約2メートルも進んだ地点だった。右足を前にして構えているのに、なぜか右足から進もうとした。バトンが詰まってしまうどころか、そのまま桐生に追い抜かれてしまった。練習場は爆笑の渦に包まれた。「おせ~よ」と桐生。サニブラウンは頭の上で手を合わせ「ごめんなさい」ポーズ。練習場の中心で映像を確認すると、再び笑い声が起こった。

 前日30日は1走の練習に専念し、大きなミスはなかった。この日は意図せず大ウケを取った上、アンカー失格の烙印(らくいん)を押されてしまった18歳は「大失態を犯してしまった」と白い歯を見せてから「スタートの方が気楽ですね」と正直な心境を吐露した。

 これで400メートルリレーは、サニブラウン-飯塚-桐生-ケンブリッジの組み合わせが濃厚となった。サニブラウンはバトンは渡すだけの1走で、不安なく実力を発揮できる。2~4走は銀メダルを獲得したリオ五輪と同じで、バトンワークに不安材料はない。爆笑ミスで決まったオーダーで、五輪も含めて初となる金メダルを目指す。