女子棒高跳びの対決が盛り上がる/ダイヤモンドL

■ダイヤモンドリーグ第14戦(最終戦)・ブリュッセル大会展望■

 陸上のダイヤモンドリーグ第14戦(最終戦)バンダム記念が9月1日、ベルギーの首都ブリュッセルで行われる。ダイヤモンドリーグ実施32種目中16種目の最終戦で、今大会の優勝者が年間チャンピオンに決定する(前戦のチューリッヒ大会で16種目は決定済み)。男子では3000メートル障害と3段跳びなど4種目で、女子では1500メートルと棒高跳びなど5種目でロンドン世界陸上の金銀メダリストが激突する。

 女子棒高跳びのエカテリーニ・ステファニディ(27=ギリシャ)とサンディ・モリス(25=米国)の対決が盛り上がりそうだ。

 世界歴代4位の4メートル91で優勝したロンドン世界陸上も含め、現在13連勝中のステファニディが優位に立っているのは確か。だがモリスにとってブリュッセルは、昨年5メートル00の世界歴代2位で優勝した相性の良い大会。銀メダルの世界陸上はステファニディに16センチ差をつけられたが、8月23日のチューリッヒでは4メートル87の同記録2位と記録的には並んだ。

 チューリッヒは駅構内の特設ピットで行われたため、室内大会扱い。ステファニディが最後に負けたのも、今年2月の室内競技会で相手はモリスだった。風が吹かないなど、気象コンディションが良ければモリスは強い。

 自己記録ではモリスに負けているステファニディだが、「世界記録(5メートル06)にも挑戦できるトレーニングはできている」と話している。

 2人の争いが白熱すればバーは世界記録に上がる。

 男子3段跳びもクリスチャン・テイラー(27=米国)とウィル・クレイ(26=米国)の金銀メダリスト対決から、世界記録が誕生する可能性もある。

 テイラーは北京世界陸上、リオ五輪、ロンドン世界陸上と、3シーズン続けて金メダルを取り続けている第一人者。北京で18メートル21の世界歴代2位を跳び、今季も5月に18メートル11のセカンド記録世界最高をマークした。世界記録はこの種目のレジェンド、ジョナサン・エドワーズ(英国)が持つ18メートル29だが、18メートル以上の回数では4試合のテイラーが3試合のエドワーズを上回っている。

 そのテイラーに何度も迫っているのがクレイである。5月にはテイラーと同じ試合に出場して、追い風参考ながら18メートル05と6センチ差。ロンドン世界陸上でも5センチ差で、テイラーを楽に勝たせなかった。ダイヤモンドリーグや米国国内の試合も含めれば、ほぼ互角の勝負を続けている。

 2人に加えて2年前に18メートル08の世界歴代4位を出したペドロ・ピカルド(24=キューバ)にも注目したい。昨年はケガで試合に出場できなかったが、今季は7月のダイヤモンドリーグ・ローザンヌ大会でテイラーとクレイを抑えて優勝した。

 三つ巴の争いとなり、勝った選手が世界記録を更新する。そんなシナリオも期待してしまう。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、昨年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していたが、今年はファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会が実施され、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ・チャンピオンとなる。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4または6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計上位8人(種目によっては12人)がファイナル大会に進出。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルのほかダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。