伊藤浩司氏感じた桐生の勝因「技術より意地」/視点

会見で日本陸連の伊東強化委員長(右)と握手を交わす東洋大・桐生(撮影・清水貴仁)

<陸上:日本学生対校選手権>◇第2日◇9日◇福井県営陸上競技場

 陸上男子の桐生祥秀(21=東洋大)が日本人初の100メートル9秒台をマークした。決勝で追い風1・8メートルの中、9秒98で3年連続3度目の優勝。伊東浩司が98年に記録した10秒00の日本記録を19年ぶりに更新した。

 技術より意地を感じた。桐生は先行された時に、硬くなってしまうところがあった。日本選手権で4番なのは人生のターニングポイントになったのかな。世界選手権で個人種目で出られなかった。今大会の(プログラムの)表紙にもなれなかった。彼の中でもプライドを引き裂かれる時間が長かった。壁を乗り越えた。

 10秒01を出した高校3年から4年間よく我慢した。9秒台に入って、初めて世界を語れるんじゃないかと思う。この流れで9秒台の選手が1人でも多くなれば、東京五輪を迎えられればいい。

 この記録が条件がよかったと終わらせたくない。世界のスプリンターと走った時に、日本から9秒98を出せるようなスプリンターが増えて欲しい。他人の記録より先にないものを目指すのは大変。これからは真のアスリートの価値を問われる。先が見えない状況で次に何を目指すかは難しい。これからは1つ1つの選択が大きくスプリント人生を変える。ここからが始まり。ここからは世界のアスリートを目指す、タイムにふさわしい人格のアスリートになってほしい。

 今後はいいライバル関係で進んでもらいたい。9秒台を目指す関係ではなく、次は世界のファイナルを目指す。世界の舞台で9秒98を出したら、決勝に残れる。この記録を世界で再現できることが重要だと思う。(日本陸連強化委員長)