【富士山女子駅伝】拓大の「フワちゃん」不破聖衣来が10人抜きで区間新

全日本大学女子選抜駅伝の第5中継所で6区拓大・梅木(右)にたすきを渡す5区の不破(撮影・江口和貴)

<全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)>◇30日◇富士山本宮浅間神社前-富士総合公園陸上競技場(7区間43・4キロ)

2021年の年の瀬に今季大ブレーク中の拓大のスーパー1年生、「フワちゃん」こと不破聖衣来(せいら、18)がまたも衝撃的な走りを披露した。

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全7区間で最長の5区(10・5キロ)。額にかけていたサングラスを静かに目元へ下ろし、気持ちを高めた。トップの名城大とは2分22秒差の12位でタスキを受けると、滑らかなフォームで走りだした。グングンとスピードアップ。前行く選手を次々と追い抜いていく。最初の1キロは2分59秒。この時点で7位に浮上していた。

並走する大東文化大の鈴木優花(4年)は昨年5区で区間賞を取り、今年9月の日本インカレ1万メートルで大会新記録(32分4秒58)で優勝している実力者だ。さらに1キロを3分5秒、3分0秒。その速いラップにさすがの鈴木もついていけず、3キロを過ぎる頃には隣に姿はなかった。

テレビ解説者の増田明美さんは「今日もフワちゃん祭りですね」と期待感を口にする。4キロすぎには9人抜きで3位へと浮上。1万メートルの日本記録ペースで前半をぶっ飛ばした。4キロから5キロの1キロラップは2分55秒とさらに上がった。まさに驚異的なスピードを披露した。

6キロから7キロの1キロラップは3分1秒と落ちない。7キロ付近でまた1人抜いて2位に上げた。トップを走る名城大の主将、和田有菜(4年)の背中を追う。154センチの小さな体が躍動する。長いストライドで前へ。首位までは届かなかったが名城大との差を1分17秒差までに詰めた。不破は10人抜きでチームを2位まで押し上げた。タイムは32分23秒で文句なしの区間新記録だった。

12月11日に京都で行われた記録会で1万メートルを30分45秒21で走り、日本歴代2位の記録をマーク。来年夏の世界選手権(米オレゴン州ユージン)の参加標準記録(31分25秒00)も突破している。師走を飾る驚走劇。24年パリオリンピック(五輪)を目指す日本陸上界に現れたニューヒロインは、22年のさらなる飛躍が期待される。【佐藤隆志】