【箱根駅伝】川内優輝の提言「連合チーム編成可否は大切な議題」「学連代表委員総会の透明化を」

川内優輝(2023年2月25日)

来年1月の箱根駅伝で連合チームが編成されないと発表されたことを受け、マラソン男子で元日本代表の川内優輝(36=あいおいニッセイ同和損害保険)がこのほど取材に応じ、関東学連の決定過程の透明化を訴えた。学習院大時代に連合チーム(当時は関東学連選抜)で2度出走した立場から、十分に議論されて決定に至ったのかを疑問視。全国に門戸が開かれる節目の第100回大会を前に、箱根駅伝のあり方を見直す必要があると提言した。【取材・構成=藤塚大輔】

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昨年6月の時点で「関東学生連合チームは編成しない」と発表されましたが、第100回大会は全国化されることもあり、日本学生連合によるチーム編成を期待する声がありました。しかし、6月28日には主催である関東学連の公式ホームページにて「連合チームは編成いたしません」と記載された文書が掲載されました。SNSでは、十分に議論されていない中での発表を非難する学生の投稿も目にしました。発表に至った過程が不透明だったことを残念に思いました。

10年前にも同様の決定がありました。関東学連選抜チームは03年の第79回大会から編成されるようになりましたが、14年の第90回では急に廃止が決定しました。これは関東学連の代表委員総会において、議題にはなかった廃止案が急きょ出され、委任状を送っていた全ての加盟校が「廃止賛成票」として集計されたためです。そのまま消滅する可能性もありましたが、学生たちが粘り強く意見交換し、翌年からオープン参加の関東学生連合チームとして復活させることができました。

一番にすべきは、関東学連の代表委員総会の透明化を図ることです。私も大学時代に総会へ出席していました。毎月のように開催されていましたが、平日の午後に開かれることも多く、授業を優先するため、委任状を提出するだけの加盟校もありました。会の内容も、学連執行部の提案議題の追認がほとんどで、拍手や挙手のみで議決されることが大半だったと記憶しています。より多くの学校によって議論し、その過程を開示することが肝要だと考えます。

これまで連合チームは一定の成果を残してきました。04年の第80回大会では、筑波大の鐘ケ江幸治さんが山登りの5区で区間賞を獲得し、大会MVPにあたる金栗四三杯を受賞。創価大や東京国際大などの強豪校も、連合チームを足がかりとし、チームとして初出場を果たしました。立教大も同様の流れで、今年は55年ぶりに本大会へ返り咲きました。私も箱根で注目を浴びる経験をしたので、日本代表でも重圧に負けずに走ることができた自負があります。この制度があるからこそ、頑張ることができた学生もいるはずです。それだけ、連合チームの編成可否は大切な議題です。大会主催者には、発表に至った過程を説明することが求められていると思います。

◆川内優輝(かわうち・ゆうき)1987年(昭62)3月5日、東京・世田谷区生まれ。学習院大時代に関東学連選抜で箱根駅伝を2度出走。2年時に6区区間6位、4年時に6区区間3位。卒業後は地方公務員かつ非実業団の「市民ランナー」として活躍。17年世界選手権男子マラソン9位。19年4月にプロランナー転向した。フルマラソン127回。

◆連合チーム 出場権を得られなかった大学にあって、予選会での個人記録が優秀な選手を選抜して構成される(留学生は選出されない)。第79回(03年)のチーム数増加に併せ「関東学生選抜」が初めて編成された。オープン参加扱い(参考記録)だったが、第83回(07年)~第89回(13年)までは正式参加となり、記録も順位も付いた。ただし第90回(14年)は編成されず、議論を重ね第91回(15年)から「関東学生連合」として復活。再びオープン参加となった。そして今回迎える第100回(24年)は「日本学生連合」としての参加も期待されていたが非編成となった。第101回以降(25年)は未定。

 

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