【東京マラソン】スーパー週4日勤務の市山翼、日本人トップ「下りをうまく走れた」自己ベスト更新

男子マラソンで、2時間6分の日本人トップでゴールする市山(撮影・河田真司)

<陸上:東京マラソン>◇2日◇東京都庁~東京駅前・行幸通り(42・195キロ)

国内最大規模のマラソン大会で、スーパー店員がスーパーな快走をみせた。スーパーマーケットに週4日勤務する市山翼(28=サンベルクス)が2時間6分0秒で駆け抜け、男子日本人最高位の10位でフィニッシュ。終盤に順位を上げ、自己ベストを1分41秒も更新した。9月に東京で開催される世界選手権の代表選考会を兼ねて行われた大一番で存在感を示した。女子は安藤友香(30=しまむら)が2時間23分37秒で日本人トップの11位だった。

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無欲で臨んだ市山が終盤、目を見張る追い上げをみせた。有力選手を次々と抜き去り、日本人トップでゴール。「抜いたり、抜かれたりは意識していない。レース後に日本人トップと知った。レース中はまだ先に日本人選手がいると思って走っていた」。国内外の記者が詰めかけた会見場でマイクを手にし、「こうした場で話すことは得意じゃない。かんだりしないように気をつけながら臨んでいます」と初々しく笑った。

箱根駅伝のスター選手、青学大4年の太田が日本新記録ペースで飛ばしに飛ばした。中央学院大時代の18年箱根駅伝2区17位だった市山はその流れにはついていかず、マイペースで追走。気温22度まで上昇した中で、最後までリズムを崩さなかった。浦野に約38キロ地点で追い付くと、その約1キロ先では日本人トップだった池田を抜き去った。「明確なレースプランはなかった。得意じゃない下りをうまく走れたのが結果につながった」とうなずいた。

パリ五輪男子20キロ競歩日本代表で“歩くスーパー店員”と称された浜西諒や、世界陸上内定の吉川絢斗と同じく、スーパーマーケット「ベルクス」を展開するサンベルクス所属。市山は草加青柳店グロサリー部の一員として、発注や品出しを担当する。青果部の浜西と同じ店舗で働き、勤務日は火、水、木、土曜で、午前8時から午後1時まで5時間勤務。「自分以上にもっと働いている人もいる。働きながら走ることに不満はない」。全日本実業団対抗駅伝で5年連続出場など存在感を高めている陸上部の一員として、明るい口ぶりには感謝の気持ちがにじむ。浜西からはX(旧ツイッター)で「市山さん最高っすよ! 皆さんぜひ市山選手に会いに草加青柳店へいらっしゃって下さい」と2ショット写真付きで祝福投稿も届いた。

9月に東京・国立競技場で開催される世界選手権代表候補に残った。「世界陸上に出場させていただけるのであれば、力を発揮したい」。早春の東京を疾走した“走るスーパー店員”は、秋の東京でも走れることを願った。【奥岡幹浩】

◆市山翼(いちやま・つばさ)1996年(平8)4月8日生まれ、埼玉県出身。埼玉・大宮東高から中央学院大に進学し、3年時には箱根駅伝で花の2区を任され区間17位だった。卒業後は埼玉医大グループ、小森コーポレーションを経て23年4月にサンベルクス移籍。21年びわ湖毎日マラソンで2時間7分41秒をマーク。23年別府大分マラソンで日本人最上位の3位。パリ五輪選考会のマラソングランドチャンピオンシップは13位だった。

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