山本博が右肩手術 悲願の東京五輪金へ53歳決意

右肩再生手術を受ける山本

 2020年東京五輪での悲願の金メダルへ、アーチェリーの五輪メダリスト、山本博(53=日体大教)が右肩再生手術を受けることが11日、分かった。3月の検査で弓を引く右腕の右肩腱板(けんばん)にある棘(きょく)上筋が断裂していることが判明。明日13日に横浜市内の病院で手術に踏み切る。手術を回避して競技を続ける選択肢もあったが、五輪で頂点を目指すため、84年ロサンゼルス五輪で銅、04年アテネ五輪で銀メダルを獲得した『黄金の右腕』を再生させる。

 3月の検査で右肩の肩甲骨と上腕骨をつなぐ棘上筋の断裂が判明した。肩を酷使するプロ野球の投手などに多い症例だが、アーチェリーの選手では異例。「08年ごろから右肩に痛みがありましたが、首のヘルニアの影響だと思っていました。筋断裂なんて考えてもいませんでした」と山本。40年に及ぶ競技生活で骨が盛り上がり、棘上筋を傷つけたとみられる。

 ただ最近は思い当たる節もあった。「若い一線級の選手たちといい試合をしているのに、なぜか終盤に的中精度が落ちる。右肩が緩く、ピシッとしない感じでした」。昨年の国体でも後半に首位に浮上したが、最終2エンドでスコアを落とした。「肩関節がくっついていなければ誤差が出ますよね」と苦笑いした。

 手術を回避して、局所ステロイドなどを注入しながら競技を続ける選択肢もあったが、山本は迷わず手術を選択した。「肩関節がくっつけば以前に戻れる予感があるし、手術して完璧に治してプレーした方がメンタル面でもプラスになる。20年東京五輪で金メダルという目標もありますから」

 手術では上腕骨にくいを打ち込み、糸で棘上筋をつなぎ、肩峰の盛り上がった骨を削る。入院する3週間は右腕を固定しリハビリ開始は3カ月後。練習を再開できるのは半年後になるが、山本は手術から6カ月と10日後の10月22日開幕の全日本選手権を復帰の舞台に決めている。

 「全日本は17歳から36回連続出場中ですから、欠場は考えられない。普通なら無理かもしれませんが、人間の体はやる気次第で全然違います。リオが終わってみんなが東京に向く。そのスタートラインに若者と立ちたいんです」。再生した「黄金の右腕」に、山本は悲願の金メダルの夢を託す。

 ◆山本博(やまもと・ひろし)1962年(昭37)10月31日、横浜市生まれ。保土ケ谷中でアーチェリーを始め、横浜高でインターハイ3連覇。高2から現在まで全日本選手権36年連続出場中。日体大3年の84年、ロサンゼルス五輪の男子個人で銅メダル獲得。その後、88年ソウル、92年バルセロナ、96年アトランタはメダルを逃したが、04年アテネ五輪で銀メダルを獲得した。大宮開成高の保健体育教諭を経て現在は日体大教授。昨年、弘前大大学院を卒業し、医学博士号を取得した。東京都体育協会会長も務める。

 ◆肩の腱板断裂手術を受けた主なスポーツ選手 プロ野球では02年に左腕最速155キロを出した石井弘寿(ヤクルト)が06年に左肩、最多勝2度の斉藤和巳(ソフトバンク)も08年に右肩の手術を受けた。昨季限りで引退した通算得点歴代3位を誇るNBAのコービー・ブライアント(レーカーズ)は15年に右肩を、プロボクシング史上2人目の6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)も昨年5月に右肩を手術。(所属は当時)