竹下佳江氏が新チーム「ヴィクトリーナ姫路」監督に

新チーム「ヴィクトリーナ姫路」の監督に就任した竹下氏

 バレーボール女子の元日本代表の主将を務め、セッターとして12年ロンドン五輪で銅メダルを獲得した竹下佳江氏(38)が、兵庫・姫路市を活動拠点とする新チーム「ヴィクトリーナ姫路」の監督に就任した。Vリーグに入れば、実業団でなく選手全員がプロ契約を交わすチームは初めてとなる。7日に都内で行われたチームの発足会見に出席した竹下氏は「日本一を目指し、また五輪でメダルを目指して戦える選手を輩出したい。新たなチャレンジになる」と決意表明した。

 竹下氏は監督就任について1年以上悩んだと明かし、「オファーをもらったときは指導に興味はなく、何度も断った」と話した。それでも引き受けた理由の1つは、働く女性の可能性を広げたいという思い。夫であるプロ野球・広島の江草仁貴投手(35)との間には、1歳になったばかりの息子がいる。広島在住だが、今後は姫路に拠点を移すことも検討中だという。竹下氏は、「母親で、監督になる。子どもの負担になることは避けたいし、そこも模索しながらやっていく。女性になにかメッセージをおくれると思い決心した」と、子育てとの両立を力強く宣言した。

 現役時代は強烈なリーダーシップで仲間を引っ張った姿が印象的だった竹下氏。監督としての理想は、忌憚なく選手の意見を取り入れる雰囲気にすることだ。「(年齢が)下の人から学ぶこともある。それで視野も広がると思う」と、柔軟な姿勢でチーム作りを進めていくつもりだ。

 現在、選手、スタッフについては編成中。すでに数人は姫路市内で練習を始めている。日本協会へのチーム登録は3月に行われた。17年シーズンでVチャレンジリーグ2部(Vリーグ3部)に参加するため、今後はVリーグ機構に準加盟入りを目指す。

 準加盟のためにはある程度実績が必要であるため、まずは7月の日本選手権の兵庫県大会出場を目指してチームを作る。さらに、仮に17年シーズンに参加して優勝しても、チャレンジリーグ1部(Vリーグ2部)に昇格するには正式加盟が必要となる。準加盟から1年間は正式加盟はできないため、チャレンジリーグ1部の昇格は早くて19年シーズン。その上のプレミアリーグ挑戦へは最速でも20年シーズンまでかかることになる。

 壁は多い。竹下氏は「まず1年、踏ん張りたい。未知の世界なので、みんなでいいものを作っていきたい」と先を見据えた。