ラグビーの元日本代表監督で昨年10月20日に53歳で死去した平尾誠二氏をしのぶ「感謝の集い」が10日、神戸市内のホテルで行われた。親交があったノーベル医学生理学賞受賞者で京大iPS細胞研究所の山中伸弥所長(54)も参加。闘病生活に携わっていたことを明かし「君のことを治せなくて…。本当にごめんなさい」と語りかけた。式典に関係者約800人、献花のため約2000人の一般ファンも集まり、別れを惜しんだ。
笑顔で空を見上げる平尾氏の遺影に向かって、山中氏が頭を下げた。そして、無念の表情で語りかけた。
「平尾さん、本当にご冥福をお祈りします。そして、君のことを治せなくて…。本当にごめんなさい」
参列者からすすり泣きが聞こえる。同学年で自らも学生時代にラグビーに打ち込んだこともあり意気投合。食事、ゴルフをともにする友人だった山中氏が、闘病生活の秘話を明かした。
平尾氏が余命宣告を受けたのは15年9月、W杯南アフリカ戦で日本代表が歴史的勝利を挙げる数日前だった。「普通の人はぼうぜんとして何もできない。君は最後の瞬間まで本当に格好良かったです」。亡くなるまでの約1年間、医学的見地から闘病生活を支えた山中氏がある日、伝えた。「この治療は世界初。ただ、どんな副作用が起こるか分からない」。その時見せた平尾氏の明るい表情は、驚かされたと同時に忘れられないものだった。
「そうか、先生! 世界初なんや!」
亡くなる前日の16年10月19日。病室で話した際は、苦しみながらも山中氏の問いかけにほほ笑んだという。
平尾氏の息子の昂大さん(22)は「選手の方々に良くない影響を与えてはいけない。『万が一になったら、決して(周囲に)知られないようにしてほしい』というのが父の言葉でした」と明かした。会場には生前の幅広いつながりを示すように、各界から800人の関係者が集った。【松本航】
◆主な参列者 森喜朗(日本協会名誉会長)岡田武史(日本サッカー協会副会長)山中伸弥(京大iPS細胞研究所所長)山口良治(伏見工元監督)高崎利明(伏見工前監督)林敏之、萩本光威、元木由記雄、イアン・ウィリアムス、大畑大介(いずれも元神戸製鋼)アンドリュー・マコーミック(元日本代表)野村忠宏(元柔道家)朝原宣治(元陸上)坂井信也(プロ野球阪神オーナー)※敬称略、順不同