シグルドソン新監督 ハンドボールの救世主になる

日本式のお辞儀をする日本代表ダグル・シグルドソン監督。右は蒲生晴明副会長・専務理事(撮影・中島郁夫)

 ハンドボール男子日本代表監督に就任したダグル・シグルドソン氏(43)が13日、都内で会見した。ドイツ代表を昨年の欧州選手権優勝に導いたアイスランド人監督は、ドイツはもちろん世界中の強豪国や欧州のトップクラブの誘いを蹴って来日。国際ハンドボール連盟(IHF)の15年世界最優秀監督に選ばれた「世界一の指揮官」が、88年ソウル大会以来五輪から遠ざかる日本ハンドボールの救世主になる。

 シグルドソン監督の言葉は明快だった。「スピードは素晴らしいが、フィジカルとメンタルが問題。経験を積むことが大切」。開催国として8大会ぶりに出場する20年東京五輪。日本協会が掲げる「メダル獲得」の目標に向けて「困難だが、やりがいのある新しいチャレンジだ」と言ってのけた。

 代表とクラブで結果を残す世界屈指の名将。サッカーで言えばドイツ代表のレーウ監督とマンチェスターUのモウリーニョ監督を合わせたような指揮官だ。それが、1月の世界選手権で24カ国中22位の日本を指揮する。キャリアに傷がつく可能性もあるが「そう思わない。この挑戦でキャリアも向上する」と笑った。

 交渉は昨年9月に始まった。ドイツ代表は契約延長を求め、パリSGなどからは年数億円のオファーもあった。しかし、プレー経験もある日本への思いは強く「悩んだが、金の問題ではなかった」と話す。テロの脅威がある欧州ではなく、安全な日本に家族を住まわせたい思いもあった。

 まずは現在行われている日本リーグを視察し「ゼロから」代表選手を選考する。4月から合宿をし、7月に行われるドイツの強豪キールとの親善試合が初陣となる。「まずアジア3強、そして欧州以外での5強に入る。自信を持てば、欧州勢を倒すことができる」。名将の頭の中には3年後、東京五輪への青写真ができている。

 ◆ダグル・シグルドソン 1973年4月3日、アイスランド生まれ。バリー・レイキャビクでアイスランドリーグ優勝5回、ドイツを経て00年から3季、日本リーグの湧永製薬で活躍した。アイスランド代表として215試合397得点。監督としてはフクセ・ベルリンで欧州CL4強、ドイツ杯優勝、欧州杯優勝、ドイツ代表を率い16年欧州選手権優勝、リオデジャネイロ五輪3位。家族は夫人と子ども3人。