17歳長谷川涼香が初優勝、引退星さんハッパで気合

女子200メートルバタフライ決勝 2分6秒29の記録で優勝した長谷川(右)。左は2位牧野(撮影・清水貴仁)

<競泳:世界選手権代表選考会兼日本選手権>◇第3日◇15日◇名古屋市・ガイシプラザ◇女子200メートルバタフライ決勝

 リオデジャネイロ五輪代表の長谷川涼香(17=東京ドーム)が、2分6秒29で初優勝を飾った。五輪2大会連続銅メダルで、昨年現役を引退した星奈津美さん(26)から激励を受けて、きっちりと勝利。同門の2位牧野紘子(17)とともに標準記録も突破して初の世界選手権代表に内定した。日本勢が五輪で銅メダル3個を獲得した同種目の伝統を受け継ぎ、東京五輪までバタフライの主役として引っ張る。

 憧れの人を上回るペースで飛ばした。長谷川は、前半の100メートルで星さんの日本記録(2分4秒69)のラップを0秒23上回った。最後の50メートルで失速したが、初めての日本一。「星さんがいなくなって、自分がとるしかないと思った。去年(の五輪)は準決勝で敗退したので、今年は(世界選手権で)メダルを確実に取りに行きたい」と誓った。

 昨夏のリオ五輪。表彰台が狙える2分6秒00のタイムを持って出場も準決勝は全体の9番目、わずか0秒11差で敗退した。取材エリアで号泣し、一緒に出た星さんの銅メダルを見た。父滋さんは「丸1日、泣いていた」と振り返る。翌日は食べ放題のハンバーガーをほおばって、吹っ切った。

 前日14日には気持ちを新たにする出来事があった。会場で引退した星さんに「タイムを出して。心配はしてない」とハッパをかけられた。「星さんの前でちゃんと泳がないといけない」と気合が入った。今年1月には「できたら星さんがいるうちに勝ちたかった。でも星さんの隣で、負けられない気持ちを学んだ」。その背中から教えられたことを実行した。

 同種目の日本女子は、中西悠子さんと星奈津美さんで五輪銅3個を獲得。長谷川は「星さんが抜けて最初の年。2バタ(200メートルバタフライ)は長谷川、と思われるようにしたい。前に人がいない不安はある。後ろから追いかけてくる人はたくさんいるけど、それでも自分の泳ぎができるようにしたい」。200メートルバタフライを引っ張っていく。【益田一弘】

 ◆長谷川涼香(はせがわ・すずか)2000年(平12)1月25日、東京都生まれ。競泳コーチの両親の下、0歳からプールに通い。2歳で5メートル泳ぐ。田端中3年時の全国中学大会は100、200メートルバタフライ連覇。淑徳巣鴨高に進み、昨年の日本選手権200メートルバタフライで2位となり、リオ五輪代表に選出。名前は千葉すずの「すず」と母かおりさんの「か」から命名。165センチ、56キロ。