錦織今季欠場、古傷悲鳴「プツ」世界ランクは大下落

5月、マドリード・オープン準々決勝のジョコビッチ戦の試合前練習で痛めた右手首を気にする錦織。その後試合を棄権

 悪夢だ! 男子テニスで世界ランキング9位の錦織圭(27=日清食品)が、右手首の腱(けん)を痛めたため、28日開幕の4大大会最終戦全米オープン(ニューヨーク)を含む今季の残り大会すべてを欠場すると16日、マネジメント会社が発表した。14日の練習で鋭い痛みが走り、今週のウエスタン・アンド・サザン・オープン(米シンシナティ)も欠場。3人の専門医に診断をあおいでいた。現時点では手術の予定はない。錦織は世界ランキングを大幅に落とすことになる。

 14日のサーブの練習中、右手首から「プツ」っと音がしたという。あまりの痛みに、錦織はその場でうずくまったほど。顔をゆがめ、そのまま練習は中断。ベンチに引き揚げ、中尾公一トレーナーの応急処置を受けた。そのままコートから去り、全米オープンの前哨戦となるウエスタン・アンド・サザン・オープンを欠場した。

 マネジメント会社によると、その後、病院に直行。大リーグの投手の手首も診ている医者を含む3人の専門医の診察を受け、磁気共鳴画像装置(MRI)では、腱の一部に裂傷が見つかった。部位は尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん)腱とみられる。現在はギプスで患部を固定し、来週以降、再診を受ける予定だが、現時点では手術はしない方向だ。

 ただ、安静にしていても完治には4~6週間を要する。その後リハビリが必要で今季は絶望のため、残り大会の欠場を決めた。ただ、再診の結果次第では手術の可能性もある。右肘の内視鏡手術を受けた09年同様、日本で診察を受ける可能性も残る。

 錦織の右手首は古傷で、14年からテーピングを施してプレーするようになった。約2年半、痛みは出ていなかったが、今年3月のマイアミ・オープンで「突然、痛くなった」。4月のバルセロナ・オープンを欠場し、5月のマドリード・オープンで復帰したが、準々決勝で痛みが再発し棄権。その後は、少し治まっていた。

 今回の休養で、14年9月8日から死守してきたトップ10から陥落するだけでなく、大幅に世界ランクを落とすことになる。09年に右肘手術でツアーから約1年間離れた際は、一時世界ランクが消滅した。しかし、復帰半年後にトップ100に戻した経験を持つだけに、再現が期待される。