高橋侑希「やめなくて良かった」初Vで東京五輪弾み

レスリング世界選手権メダリスト

<レスリング:世界選手権>◇第5日◇25日◇パリ◇男子フリースタイル57キロ級

 男子フリースタイル57キロ級の高橋侑希(23=ALSOK)が、世界選手権初優勝を果たした。日本勢のフリースタイル金メダルは81年大会52キロ級の朝倉利夫以来36年ぶりで、フリーとグレコローマンでの同一大会金メダルは70年大会以来47年ぶり。女子を合わせて全3スタイルでそろって世界一は初めてとなった。日本の金メダルは6個となり、20年東京五輪へ躍進した。

 高橋は決勝でトーマス・ギルマン(米国)を攻め切った。6分間を戦い終えて6-0とし、スタンドに一礼。日の丸を掲げると、練習を終えたばかりのようなさっぱりとした様子でマットを下りた。フリーの日本勢で36年ぶりの金メダルにも「勝っちゃった。あまり実感がない」。日本レスリング史に新たな1ページを彩った。

 開始から20秒あまり。ギルマンのタックルをつぶすと下から持ち上げ、一気に場外に出した。「相手は攻撃力が強い。守らず勝負しようと思った」と2分10秒すぎには足首を取ってテークダウンを奪い、第2ピリオドでは投げからバックに回って加点。落ち着いた表情とは対照的に、ファイトは熱かった。

 10年ユース五輪で金メダルも、その後は苦しんだ。15年の全日本選手権で5位に終わり、リオ五輪出場を逃した。挫折の中、今回が3度目の世界選手権への挑戦だった。「チャンスを生かすも殺すも自分次第。過去と同じ過ちを犯したくない」。念願の世界一をかなえると「レスリングは世界選手権の優勝の方が(五輪よりも出場選手が多く)難しいと言われている。自信になる」と結果をかみしめた。

 表彰台の真ん中で目をつむって君が代を聴いた。「やめなくて良かった。(心が)折れなくて良かった」。各階級で東京五輪の実施階級の変更はあったが主戦場の57キロは残った。「20年で優勝できれば本当に大成功」。今回の成果は成功と位置付け、さらに大きなゴールを目指す。

 ◆高橋侑希(たかはし・ゆうき)1993年(平5)11月29日生まれ、三重県出身。いなべ総合学園高時代、55キロ級で09~11年高校総体3連覇。山梨学院大へ進学し、12年全日本大学選手権優勝。14年全日本選抜選手権に優勝し、世界選手権初出場で5位入賞。15年の世界選手権は9位。57キロ級で昨年の全日本選手権、今年のアジア選手権で初優勝。ALSOK所属。159センチ。