村上茉愛予選1位に陣営驚き「予想していなかった」

女子予選の演技を終え、観客の声援に応える村上(共同)

 女子予選が行われ、エース村上茉愛(21=日体大)が4種目合計55・933点をマークし、首位で6日(日本時間7日午前)の決勝に進んだ。予選の得点を持ち越さずに行う決勝では、1966年大会の池田敬子、2009年大会の鶴見虹子の銅メダルを上回る日本選手最高成績を目指す。

 まだ予選、しかし快挙と言って良いだろう。村上が強敵の米国勢らを抑えてあっぱれの首位通過。「世界選手権は今年で4回目だけど、1位は人生で初めて。やっぱりうれしいですね」と、抑えめの口調ながら、目を輝かせて言った。

 落下の危険性が最も高い最初の平均台を無難に乗り切ると、2番目の種目は「一番力を入れてきた」という床運動。入り技で片足4回ターンを見事に決め、14・200の高得点をマークした。するとこれで勢いに乗り、3つ目の跳馬、最終種目の段違い平行棒でも安定感抜群の演技を見せた。

 4種目の中でカギとなったのはやはり床運動だ。以前は、H難度の「シリバス」や「チュソビチナ」などのアクロバット系と呼ばれる技で高い評価を得る一方、ダンス系と呼ばれるターンなどで点を稼ぐことができず、メダルには届かなかった。今年はどうすれば点を取れるかを綿密に考え抜いて、以前のアップテンポのものからしっとり系の曲に変更。「大人っぽさや手足が長く見えるような動きになるように練習を重ねた」(村上)ことが高得点につながった。

 これには普段は厳しい瀬尾京子コーチが「予想していなかった結果。すごいことだと思う」と目を細め、塚原千恵子女子強化本部長も「1位は聞いたことがない。初めてでしょう」と相好を崩すしかなかった。

 今回はリオ五輪個人総合の金銀銅メダリストが不在。さらには強豪選手が相次ぎミスしたことにも助けられての1位通過とあって「自分はミスがなかったので、運が良かったのかな」と話す様子には力みがない。表彰台を目指す決勝が実に楽しみだ。【矢内由美子】

 ◆村上茉愛(むらかみ・まい)1996年(平8)8月5日、神奈川県生まれ。2歳で体操を始め、小学生の頃は池谷幸雄体操倶楽部に所属した。17歳で13年世界選手権代表に選ばれ、種目別床運動で4位入賞。15年世界選手権では個人総合6位入賞。15年に日体大に進学し、現在3年生。148センチ、48キロ。目標の選手はリオ五輪金メダリストのシモーネ・バイルス(米国)。