大東大FB中川キヤノン内定 目標の東京五輪へ1歩

キヤノン入りが内定し喜びの叫びをする大東大FB中川

 必殺中川ステップで五輪へ-。大学ラグビーの名門・大東大のFB中川和真(4年=函館工)が、トップリーグ・キヤノン入りすることが16日までに内定した。柔軟性を生かした独特なステップワークで、昨夏は7人制のジャパンセブンズ優勝に貢献。今年7月は関東大学オールスターに選ばれるなど着実に力をつけ、夢のスタートラインに立つことが決まった。

 22年ぶりのリーグ戦Vをかけた東海大との全勝対決(18日、東京・江戸川区陸上競技場)の目前、中川の元に、待ちわびた内定通知が届いた。「安心したが、まずは大学。リーグ戦を勝ち、大学日本一になって、キヤノンに行く準備をします。応援してくれた親、先生、友達に感謝して、残りの大学生活を過ごしたい」と言い、武者震いした。

 変幻自在のステップが持ち味だ。相手のタックルをひらりと跳び越えたかと思えば、1度後ろに下がり相手を引きつけてから前に出る。右に顔を向けて左にステップを切るノールックランも当たり前。“トトン、トトトン”と自在にリズムを変えながら細かくステップし、相手陣に切り込む。ステップは何種類かの問いに、「うーん」と考え「多種多様です」と笑った。

 中学時代はクラブでラグビー、部活でバスケットボールを選んだ。「細かいステップができるのは、バスケのおかげもある」。高1で左足首の骨折と手術をした後、柔軟性をつけるためにテレビでお笑い番組やラグビーの試合を見ながら、ベッタリと両足を開脚した。同じランが武器でニュージーランド代表などで活躍するFBベン・スミス(31)らの動画を見れば、ポールを相手DFに見立て、何度も同じように抜き去る練習を繰り返したという。

 花園出場もなく高校まで無名の中川を、2年で部員約90人のチームのスタメンに抜てきした大東大の青柳勝彦監督(44)も「ステップが独特。足が特別速いわけではないが、守る時はボールを持つ相手をタッチ側に追い込めるし、攻める時はDFの間を抜けていける。人数が少なくスペースの広いセブンズではもっと能力が生かせる」と評価する。

 「19年の(15人制の)W杯より、(セブンズで行われる)20年の東京五輪。会社にも『オリンピックにチャレンジしたい』と言ってあります」と中川。大学日本一でホップ、キヤノンでステップし、五輪にジャンプする。【中島洋尚】

 ◆中川和真(なかがわ・かずま)1995年(平7)10月28日、函館市生まれ。函館湯川中1年の時に、函館ラグビースクールで競技を始めた。函館工2、3年で道高校選抜。大東大では16年ジャパンセブンズ優勝、関東大学リーグ戦3位、大学選手権4強。17年関東大学オールスターに選出。ポジションはFBとWTB。家族は両親と兄。173センチ、77キロ。

 ◆キヤノンラグビー部 1980年(昭55)創部で、08年から本格的に強化を始めた。12-13年にトップリーグに昇格し、昨季まで11位、7位、7位、6位、7位。今季はFW25人(プロップ9、フッカー4、ロック4、フランカー・NO8が8)バックス24人(SH4、SO5、CTB7、WTB・FB8)。愛称キヤノン イーグルス、本拠地キヤノン スポーツパーク(東京)。