宇野昌磨、史上初SPシーズン4度大台100点超え

男子SPの最後に引き締まった表情でポーズを決める宇野(撮影・河野匠)

 男子SPで平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)代表の宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が100・49点を記録し、首位に立った。ステップなど得点の稼ぎどころで詰めを欠きながら、国際スケート連盟公認記録で史上初となる1シーズン4度目の100点超え。取り戻した安定感に攻めの姿勢を上乗せし、初優勝で平昌金メダルへの歩みを加速させる。フリーは明日27日に行われる。

 日本と錯覚させる四方八方からの「ショ~マ~」の声。演技を終えた宇野はスッと息を吐いて、場内の拍手を受け止めた。「モヤモヤはちょっと残っているけれど、ホッとした気持ちもある」。史上初の1シーズン4度目となる100点超えにはポジティブな思いと、少しの後悔が重なった。

 序盤から中盤へとさしかかるステップ。「丁寧にいきすぎてしまった」と氷を捉える1歩1歩の浅さがレベル2(最高は4)に示された。続く4回転-3回転の連続トーループは後半を2回転に落として決めたが「(当初の3回転を)付けられたな」。ホッとしたのは昨年10月のスケートカナダ以降、ミスが続いたSPをまとめられたから。伸びしろと余力は残った。

 昨季後半から今季にかけ、宇野は「もっとこうしたいです」とステップや、ジャンプに入るまでの動きの微修正を樋口コーチに提案するようになった。振り付けも担当する同コーチは「彼にしか分からない動き(の感覚)と客観的に見た動きをミックスできた」と成長を実感する。12月の全日本選手権後、髪の毛を部分的に茶色に染めても「美容院に行って、寝て、起きたらこうなっていた」と笑うほど、関心事以外に無頓着なのは変わらない。それでもスケートに対しては、こだわりが強まっている。

 男子は「4回転時代」と評され、宇野もアクセル、ルッツ以外の4種類を実戦で成功。その上で世界の頂点に立つために必要なことを「ジャンプの成功率。(例えば)1本10点。きれいに跳んだらプラス3点。でも転んだらマイナス10点って考えると、まずは失敗しないこと」と分析する。少々乱れても、高難度のジャンプで技術点を稼ぐ必要性は感じているが「あまり僕は好ましく思っていません。ジャンプも含めて(表現など)他も完成したプログラムを滑りたい」と明かしたのが本音だった。

 だからこそ、その興味がジャンプだけに傾くことはない。明日27日のフリーには不安定だった4回転サルコーを抜く「五輪プログラム」で臨む。SPの反省は次に生きる。「ジャンプ自体は攻めているとはいえない構成なので、ジャンプ以外に集中していきたい」。安定感の土台を思い出した今、次は攻める。【松本航】