萩野公介200個メで瀬戸下しV7「自分に勝った」

男子200 メートル 個人メドレーを制した萩野(撮影・丹羽敏通)

 2016年リオデジャネイロオリンピック男子400メートル個人メドレー金メダル萩野公介(23=ブリヂストン)が、1分56秒37で優勝した。2位の瀬戸大也(1分56秒85)とともに日本代表を内定させた。

 前日の準決勝を1分57秒70でトップ通過した萩野は、4コースから飛び出した。隣の5コースを泳ぐ瀬戸大也(ANA)との一騎打ちが予想された中、バタフライから抜け出し、背泳ぎで2位との差を広げ、逃げ切った。不振をかこって迎えた今大会だったが王者の強い気持ちが出た。プライドを見せつけての7連覇だ。

 「ホッとしました。400メートル自由形の後、いろんな人から“水泳を楽しみなさい”と言われた。どれだけつまんない顔して泳いでいたんだろう、って思いました。(今日は)楽しかった」

 安堵感から満面の笑みを浮かべた。

 4日朝、会場に入って平井コーチから「正直どうだ?」と聞かれた。「気持ちも体もしんどいところはあります」。提案されたのは200メートル自由形の棄権。「自分の中で考えてなかった」と振り返る。仮に出場して勝ち進めば、翌5日は200メートル個人メドレー予選、準決勝、200メートル自由形決勝と1日3レースのハードスケジュールになっていた。萩野の泳ぎと精神面が崩れることを懸念した同コーチの提案を、受け入れた。

 棄権を決めて、ぽっかりと空いた1日。レースがなくなった会場で泳いだ。「特に技術というよりは何も考えずに無心で泳ごうと思った。ひたすら、もぐって泳ぐ。水の感触、体重移動を確かめた」。200メートル個人メドレーは16年リオ五輪でも昨夏の世界選手権でも銀メダルを獲得しており「ゆずれない種目」という。「先生(平井コーチ)の『ちゃんとやれ』という気持ちも伝わってきた。やるしかない、という気持ち」と覚悟を決めて臨んだ。

 同世代で親交のあるエンゼルス大谷翔平が、夢のメジャーリーグで2日連続の本塁打。大会期間中、仲間の偉業に刺激を受けた。「すごい、本当にすごい」。自らも強い気持ちでライバルに向かい合い、そして7連覇という金字塔を打ち立てた。

 「自分自身に勝つことができました。これで調子に乗って行けると思います」

 残るエントリー種目、400メートル個人メドレーへはずみがついた。