日大アメフト監督、「(反則)やるなら出してやる」

18年5月6日の日大対関学大 関学大QB(青ユニホーム)の背後から、日大DL(赤ユニホーム)が悪質なタックルを仕掛ける(関学大提供)(写真は一部加工)

 アメリカンフットボールの日大と関学大の定期戦で悪質な反則行為があった問題で、危険なタックルをした日大DLの選手は、内田正人監督の指示があったと周囲に話していることが16日、分かった。同選手は、退部の意向を示しており、「『(反則を)やるなら(試合に)出してやる』と監督から言われた」と語っているという。日大広報部はこれを否定した。15日に抗議文の回答を受け取った関学大は、今日17日に兵庫県西宮市内で記者会見を開き、回答内容を説明する。

 6日に都内で行われた定期戦での危険なプレーについて、日大内で証言が真っ二つとなった。この日、無防備の関学大QBに背後からタックルした日大DLは「『(反則を)やるなら(試合に)出してやる』と監督から言われた」と話していることが判明した。

 日大関係者によると、反則を犯した選手は、下級生の頃から主力としてプレー。しかし、最近は内田監督から精神面で苦言をていされ「干されている状態だった」と話す関係者もいる。6日の試合前には、家庭の事情で約1週間、練習を欠席。定期戦前に監督から「やるなら出す」と、反則行為を条件に出場機会が与えられたという。同選手は3度の反則行為による退場以降、騒動は拡大の一途で、追い込まれ「部をやめたい」と漏らしている。

 一方、日大広報部は、学内の調査に対して内田監督が「違反しろと言っていない」と述べたとし、DLの発言を否定した。広報部によると「監督は『必死で頑張ってこい。戦え。厳しくやれ』など厳しいことは言ったが、違反しろという指示は出していない」とし、コーチや主将らも「監督はそんなことを言っていない」と語った。反則した選手にも聞き取りをしたが「(監督の話を)どのように受け止めたか、追加で調査する必要がある」とした。

 前日15日には日大のコーチが関学大を訪れ、抗議文への回答書を持参。日大広報部によると「ラフプレーは認め謝罪しているが、監督から指示はしていない」との内容だという。

 内田監督は、問題の定期戦後に「うちは力がないから、厳しくプレッシャーをかけている。あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」などと、プレーを容認する発言もしていた。

 関東学生連盟は10日に日大DLを対外試合出場禁止とし、同監督に厳重注意処分。規律委員会で追加処分も検討しており、西村康稔官房副長官もこの日の記者会見で言及。「重大な事故につながる非常に危険な行為だ。文部科学省が必要な対応をとる」と語るなど、騒動に収束の気配はない。