日大アメフト部、体質改善に必要なことは/記者の目

日大対関学大 第1Q、ボールを投げ終わった関学大QB(右後方の青ユニホーム)の背後から、日大DL(同赤ユニホーム)が悪質なタックルを仕掛ける(関学大提供)(一部加工)

 アメリカンフットボールの定期戦(6日、都内)で日大選手から悪質な反則行為を受けた関学大が17日、兵庫・西宮市の同大学で2度目の記者会見を行った。15日夜に日大から受け取った抗議文の回答書を公開したが、具体的な経緯や見解は盛り込まれておらず、鳥内秀晃監督(59)は直接の謝罪や説明がない日大の内田正人監督(62)に怒り心頭。日大は24日までに追加回答を行う意思を示しており、関学大は刑事告訴や来年度以降の定期戦拒否など対応について保留とした。

<定期戦取材していたアメフト担当記者の目>

 OBが応援に駆けつけ、守備陣へ飛ばすゲキは決まっている。「つぶせー」。どのチームもそうだ。記者は昭和に高校、大学とプレーした。つぶせるほどの強豪ではなかったが。今もOBのゲキは変わりない。

 6日の定期戦を取材したが、反則の瞬間は見ていない。目はボールを追い、その後に倒れた選手と反則を示すフラッグを見た。2度目も同様で3度目は途中から。一部始終を見た選手、観客、関係者は少ないと思う。それほどボールから離れた場所の反則だった。

 最初はアフターかハイタックルで、選手は興奮して切れたのかと思った。すでにパスは失敗し、QBは力を抜き無防備。代表クラスの選手ならあそこまではいかない。あとでビデオを見て「つぶせ」が「つぶしすぎ」であり、壊したのは問題だった。

 2度目はRBにボールを渡した後、QBはまだボールを持っているふりをした。守備を惑わす「後フェイク」のプレー。タックルが激しすぎだが仕方ない面もある。3度目は倒されて、相手のしつこいブロックに切れて手を出した。ままある反則だった。

 日大は篠竹監督が長年君臨して名門を作り上げた。記者になって「鬼軍曹」と書くと「鬼将軍と書け」と怒られた。サムライ精神で本場米国撃破を夢見て「刺し違えろ」とゲキ。日大戦でヒザを蹴られて壊された同期もいる。選手に鉄拳制裁は当たり前。審判を平手打ちしたこともあった。

 内田監督はその指導を受け、間近でコーチとして仕え、監督として受け継いだ。16年目の昨年大学王者に復活も厳しい指導の成果。格闘球技としてケガは付きものだが、今や時代は変わり、安全は最優先される。保護者、世間の目も厳しくなった。そうでなくても1選手が6プレーで3度ラフプレーは異常だ。

 監督の指示かが焦点になっているが、選手の暴走だとしても、ベンチに下げず、退場後注意した様子もない。試合後、関学大に頭を下げていれば、ここまで発展したか。いまだ公式に謝罪すらしていない指導者の責任は重い。コーチも容認したと言え、総退陣して一新しない限り体質改善はされないだろう。この状況では秋のリーグ戦に影響が懸念される。アメリカンフットボール存続にすら危機を感じる。【河合香】