【球界セカンドキャリア~コロナ前〈3〉】元中日山田喜久夫氏、縁ある地でわらび餅店

球界のセカンドキャリアを追った中型連載を再掲します。6年ひと昔。新型コロナウイルスの感染拡大を経た今、もう1度追いかけ、比較してみたいテーマです。(2016年5月27日掲載。所属、年齢などは当時)

プロ野球

常連 ベンちゃん&荒木

中日、広島で通算222試合に登板した元投手の山田喜久夫氏(44)が名古屋でわらび餅店を営んでいる。セカンドキャリアとして成功が難しいとされる飲食の世界。投球同様の味わい深さで人気を博している。こだわりを聞いた。

ナゴヤドーム近くに構えた喫茶店「喜来もち ろまん亭」は、今年3月にオープン3年を迎えることができました。手製のわらび餅が専門。小さな喫茶スペースもあります。

わらび餅は、私の名前「喜久夫」から、喜びが来るよう「喜来餅」と名付けました。結婚式の引き出物で注文をいただくことも増えました。

投球する中日の山田喜久夫=1993年

投球する中日の山田喜久夫=1993年

プロ野球選手のセカンドキャリアとして、飲食店経営を志す方は多いと思います。手に職、の面でイメージが湧きやすいことが一番でしょう。

しかし一般的に、未経験者による飲食店が3年以内に店をたたむ割合は、90%に達するといわれています。切り盛りしていくことは簡単ではないと戒め、勉強の日々です。

絶対に背伸びしない。リスクを排除する中で、最高の商品を供する。単純なようで難しい、この考え方に徹しています。

高校が愛知の東邦で、プロ入りは中日。ドラゴンズでは打撃投手も務めました。縁のある土地で店を構えようと決め、何がベストか考えました。

「ういろう」はじめ、名古屋は和菓子を好む文化がある。「コメダ珈琲」など、喫茶を好む古き良き文化もある。わらび餅の専門店はどうか、とイメージを膨らませました。生鮮品と比較すれば、原材料の仕入れが安定していることも考慮しました。

こだわったのは「本物をお出しする」です。知人を頼り、京都と名古屋で1年間の修業。いろはから学びました。適温を保ちながら餅を練り上げていくには手間がかかります。睡眠時間を削って勉強しました。

1999年入社。整理部―2004年の秋から野球部。担当歴は横浜(現DeNA)―巨人―楽天―巨人。
遊軍、デスクを経て、現在はデジタル戦略室勤務。
好きな取材対象は投手、職人、年の離れた人生の先輩。好きな題材は野球を通した人間関係、カテゴリーはコラム。
趣味は朝サウナ、子どもと遊ぶこと、PUNPEEを聴くこと。